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海外の煙草事情。どんな喫煙対策が行われている?

日本は喫煙対策が遅れているとよく言われますが、海外の喫煙対策や法規制はどのようになっているのでしょうか。日本と馴染みが深い国や独自の取り組みをしている国について紹介します。ちなみに2004年にアイルランドが実施した禁煙法が、世界で初めて公共の場所での喫煙を全面禁止した法律です。

喫煙者にも非喫煙者にも優しい社会を目指して

日本は2018年のデータでは喫煙率21.9%であり、世界全体の平均値である23.6%は下回っています。
改正健康増進法が施行されたことで、今後も喫煙率の低下は見込まれます。
この後ご紹介させていただく、世界各国の状況を見ると、喫煙に対して厳しい動きをしている国もあるようです。ですが、そんな国であっても、喫煙者がゼロになるということはありません。必ず5人に1人、4人に1人は喫煙者が存在する国が多数を占めます。このような状況においては、お店やオフィス、様々な場所において完全禁煙にすることは喫煙者にとってみれば非常に悩ましい問題ともなってしまいます。
海外の状況を見ながら、今後日本においてどのようにして喫煙者・非喫煙者が共存できる社会を創れるかを考えていきましょう。

アメリカ

アメリカでは州ごとに法律が違いますが、半数以上の州で屋内は全面禁煙となっています。ですから家や車で喫煙をすることが中心となっています。屋外でも商店街やビーチなど完全禁煙になっている場所が多数あります。

路上での喫煙に関しても州や街によってルールが異なりますが、例えばロサンゼルスでは公共の喫煙所以外では、建物の入り口から6メートル離れた場所であれば喫煙することが可能です。

アメリカでは2009年にメンソール以外のフレーバーたばこは既に発売が禁止されていることもあり、メンソールたばこが禁止になればフレーバーたばこはアメリカ国内で完全に喫煙不可能となってしまいます。アメリカで喫煙したい場合は、基本的に屋外で、さらに屋外でも規制されているエリアでないか確認して行うようにしましょう。

中国

中国はもともと喫煙率が非常に高い国として知られており、2010年の調査によると18歳以上の男性の喫煙率は52.9%という結果でした。中国ではこれまで文化的にたばこが社交の道具として用いられ、贈答品にたばこというのも極めて一般的だったといいます。特に男性はたばこを吸って1人前という風潮もあり高い喫煙率となっていました。

こうした流れを変えたのが北京オリンピックと上海万博でした。2012年以降中国全土で公共の場所での喫煙を禁止する法律が段階的に施行されています。特に北京市では屋内は基本的に禁煙となり、喫煙が見つかった場合は過料の対象となります。また、上海市では2019年から屋内の全ての場所が完全禁煙となり、喫煙室も撤去されました。

しかし、それだけ厳しい対策を行ったにもかかわらず、実り北京市では2019年の成人喫煙率は未だに20.3%、上海市では2018年の成人喫煙率が19.9%の数字を記録しています。どんな環境を作っても5人に1人は喫煙者は存在しているのです。

韓国

韓国では2003年以降に公的機関を中心に喫煙対策が進みました。学校、病院、公共交通機関、劇場や体育館などの大型施設は初期から禁煙化が進みました。

2015年には飲食店も全面禁煙となり、喫煙室を設けているお店もほとんどありません。

一方、屋外での喫煙を取り締まる法律は今のところないため、屋外では煙草を吸う人が見られます。ソウル市では2016年に地下鉄駅出入り口から10メートルの範囲を禁煙区域に指定するということはありましたが、比較的喫煙者には寛容な対策をとっているようです。

台湾

台湾では基本的に屋内は全面禁煙と考えられます。公共交通機関や美術館等の施設、学校、病院、乳幼児や妊婦がいる室内、3人以上が集まる室内は全て禁煙です。

飲食店も基本的に全面禁煙で、ですが21時以降に営業を開始するバーやスナック、カラオケなどの成人向けのお店では一部喫煙可能になっています。また、屋外のスペースや屋台のテーブル席でも一部喫煙可能です。

屋外での喫煙の取締りはそれほど厳しくありませんが、歩きたばこは禁止です。また、屋外とはいっても、屋根がある屋外は喫煙禁止で罰金の対象になる場合がありますので、その点だけは要注意です。

ロシア

2021年の調査ではロシアは28.3%の喫煙率となっており、これは主要国の中では高い数値です。世界全体の平均値である23.6%を大きく上回っています。

2013年以降、喫煙ルールの厳格化が行われ、現在では基本的に屋内では全て喫煙禁止と考えて良い状況です。

また、公共の場でない住居での喫煙についても厳しい対処を見せています。住宅・寄宿舎・ホテルのバルコニーやロシア独自の建築様式であるロッジア(外部に直接開いている屋根付き廊下)で火の使用は禁止です。ですが喫煙禁止ではなく火の使用の禁止という言い方であるため、明確に喫煙者をターゲットにしているとも言えません。それゆえ、喫煙率は高い数字を示しているのでしょう。

スペイン

スペインも比較的喫煙率が高く、27.9%となっています。スペインでは2006年以降反タバコ法が施行され、年々喫煙の制限が厳しくなりつつあります。

現在基本的に屋内は全て禁煙であり、病院や学校や公園のような公共施設は敷地内は屋外であっても禁煙です。ただそれ以外の路上は特に喫煙に制限がなく、歩きタバコや路上の吸殻ポイ捨ては目立つ状況のようです。

イタリア

イタリアは非常に古くから喫煙対策を国が推進してきました。最初にイタリアで喫煙について定めた法律は1930年のイタリア刑法で、14才未満の者にタバコを販売提供したものは過料を徴収するとの罰則が定められています。

1975年に公共の場での喫煙を制限する法律が定められ、病院、学校、公共交通機関、映画館、ダンスホール、劇場、図書館などは基本的に禁煙となりました。

2003年に定められた新法では喫煙できる場所を定めるという方向に転換され、私的空間や法で条件が定められた喫煙者専用の空間に限って喫煙可能となりました。

飲食店に関しては床面積の50%を上限として喫煙スペースを作ることが許可されています。比較的喫煙者に考慮したお店作りが可能となっているようです。

フランス

フランスはユーロ圏内では喫煙率が高く、特に女性喫煙者がでも他国よりも多い割合なのが特徴です。2016年の調査では男性が35.6%、女性は30.1%が喫煙者となっています。

フランス政府は1991年に初めて受動喫煙対策として公共の場所での喫煙を制限する法整備を開始、2006年からは本格的に屋内での喫煙が禁止されました。法の基準を満たした喫煙専用スペースを設けることは可能ですが、教育機関やスポーツ施設では屋外のみの設置が許可されています。

フランスをはじめとするEU圏内の国の多くで行われているのが、タバコのパッケージによる健康被害の警告です。また、フランスでは喫煙者に対してニコチンパッチ等の禁煙グッズの払戻を行う等の活動もありますが、法規制までは進んでいません。健康被害には警告を投げかけるものに煙草を吸う自由は尊重されている印象です。

column

ブラジル

ブラジルは喫煙対策が進んでいる国の一つとされており、実際に喫煙率も低いです。2018年の調査では喫煙率16.5%となっており、喫煙率が低いイメージがある北欧諸国をも下回っています。

ブラジルが低い喫煙率を実現できた背景には「Mパワー」と呼ばれるたばこを流行させないための計画を導入したことが挙げられます。Mパワーは6つの要素で構成されており

  • 煙草の使用状況や予防のための政策の監視
  • 煙草の害から人々を守る
  • 喫煙を止めたい人への支援
  • 喫煙のリスクを周知させる
  • 煙草に関する宣伝やプロモーション、スポンサー契約禁止
  • 煙草への税引き上げ

を政府が行います。Mパワーはブラジルとトルコが導入し成果を上げているとのことです。

Mパワーにより閉鎖された室内での喫煙は禁止となり、多くの国では制限がない屋外での喫煙もほとんど見られません。禁煙希望者への生活指導や薬の提供は無償で行われており、喫煙人口の減少に大きく貢献しています。たばこにかかる税金も2018年には83%に引き上げられ、たばこを吸いにくい環境の促進は今後も進みそうです。

オーストラリア

オーストラリアはブラジルと同レベルの低い喫煙率を実現しています。2018年の調査では喫煙率16.2%です。

オーストラリアは1980年代から喫煙対策に取り組んでおり、段階的に公共の場所での喫煙に制限を行なってきました。現在は屋内での喫煙はほぼ禁止です。屋外でも喫煙不可の標識が出ているところが多く、路上で吸い殻を捨てているのが見つかると罰金が課されます。

さらにオーストラリア政府がたばこの税金を半年間ごとに4%引き上げるという戦略を実行した結果、現在世界でもっともたばこの購入価格が高い国となりました。オーストラリアのたばこ1箱は2,000円が相場で日本の約4倍です。購入しづらい価格にすることも喫煙率の低下に一役買っています。

ブラジル同様、高い税金を設定することは禁煙率を高める方向に強く向いていく印象があります。

タイ

東南アジアは喫煙対策が進んでいるとはいえないエリアですが、2008年から冷房のついた室内は基本的に完全禁煙となりました。飲食店においては喫煙室は設けられておらず、喫煙可能な場合は屋外のテラス席だけ可となっているケースが多いようです。他にも公共交通機関、病院、学校、商業施設は禁煙、観光客に人気のビーチも完全禁煙が増えています。

また、たばこのポイ捨てにも厳しく、警察官による取締が行われています。見つかった場合は罰金が課されます。

タイではアイコスやVapeなどの加熱式たばこ、電子たばこは禁止です。喫煙や持ち込みが見つかった場合は懲役や罰金が科されるため、渡航の際は注意しましょう。

シンガポール

2018年のシンガポールの喫煙率は16.5%となっており、世界でもトップクラスの低い喫煙率を実現しています。基本的に屋内は全て禁煙で、屋外でも喫煙できる場所はかなり限られます。

とはいえ、飲食店は屋内に喫煙スペースがある場合がありますし、屋外でも灰皿がある場所は喫煙OKです。屋外の場合は建物の入り口から5m以上離れて喫煙するのがルールです。歩きたばこも特に法律で禁じられてはいません。

アイスランド

データがしっかり取れているであろう国で最も喫煙率が低いのはアイスランドです。2018年のデータでは13.8%となっており、ここまで紹介したオーストラリアやシンガポール、不ブラジルに3ポイント近くの差をつけています。

アイスランドの喫煙対策もベーシックなもので、公共の屋内での喫煙は禁止されています。また屋外でも灰皿の撤去が進み喫煙はしづらくなっているようです。

アイスランドはもともと若者の飲酒、薬物、喫煙による健康被害や犯罪行為による治安の悪化が社会問題となった時期がありました。その際に午後8時以降の12歳以下の子供の大人の同伴なしでの外出を禁止、16歳以下は午後10時以降の大人の同伴なしでの外出を禁止し、害のある物に近づけない対策を行いました。また、アートやスポーツ、武道などに国家予算をかけ、若者が不健康な誘惑に近づかないような政策を行いました。

喫煙率の男女差

これまで世界各国の喫煙率に関するデータを比較してきましたが、これらはすべて平均値を元にした話でした。世界各国では男女間にも喫煙率に大きな違いがあります。
特にその差が大きい国で見てみると、中国が男性48.4%に対して女性が2%、韓国が男性40%に対して女性が6%、ロシアは男性が58.3%に対してロシアが23%といった数字があります。(2016年WHO調べ)
これは女性の社会進出とも大きく影響している可能性があります。というのも、どちらかと言えば新興国は男女差が大きく、社会で活躍する男性の比率が高い場合は、男性の喫煙率が高いという傾向が見て取れます。今後、女性の社会進出が増えていくのは日本のみならず世界では当然のことと言えるでしょう。社会に出る事が喫煙とイコールになるとはいえませんが、少なくともそのような傾向は見えてきそうです。
女性の社会進出が進めば進むほど、適切な喫煙対策は必要不可欠になると言えそうです。

このように各国の喫煙・分煙に関する取り組みは様々です。
税金に連動したものは禁煙の方向に向かう傾向がありますが、全体的にはどこかの段階で喫煙率は止まる傾向にあります。それゆえ、喫煙者への配慮や対応は、必ず必要なものになってくるのでしょう。
喫煙者も非喫煙者も尊重して過ごせるような環境の整備が進むことで、喫煙の観点からもSDGsが実現できるのではないでしょうか。