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喫煙問題における職場環境配慮義務違反のリスクと適切な対処法

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して働けるように配慮しなければいけない義務があることをご存じでしょうか。

会社が職場の環境に配慮するべき義務を「職場環境配慮義務」といいますが、これに違反してしまうと罰則などのペナルティーを受けたり従業員間のトラブルなどに発展したりする可能性があります。

ここで言う「従業員」とは、自社の正社員だけでなく「関係協力会社」や「派遣社員」など、社内で働くすべての労働者が該当します。

従業員への安全の配慮にはいろいろありますが、ここでは職場内において重要視されるようになってきた「喫煙問題」について見ていきましょう。

「職場環境配慮義務」の内容は法律で定められている「安全配慮義務」が基であるので、まずは安全配慮義務について解説します。

知らないでは済まない「安全境配慮義務」について

職場環境配慮義務のベースとなる安全配慮義務とはどのようなものなのでしょうか。

弁護士の見解によると、安全配慮義務は以下の2つの法律の内容が該当します。

  1. 労働契約法第5条(労働者への安全への配慮)
  2. 労働安全衛生法第3条1項(事業者等の責務)

情報元:咲くやこの花法律事務所

上記2つについてはそれぞれ以下の内容が記載されています。

 

労働契約法第5条

労働契約法第5条には、「労働者が生命や身体の安全を確保しながら労働できるように必要な配慮をしなければならない」と記載されています。

情報元:厚生労働省

労働安全衛生法第3条1項

  • 労働災害を防止するための最低基準を守ること
  • 快適な職場環境を保ちながら労働条件を改善し労働者の安全と健康を確保すること

情報元:厚生労働省

上記の文言だと具体的にどのようなことに対して配慮しなければいけないのか読み取ることができません。

しかし上記における「必要な配慮」は大きく分けて以下の2つの項目に分けることができます。

  1. 労働環境に対する配慮
  2. 健康管理に対する配慮

労働環境に対する配慮

労働者が社内のオフィスや現場で業務を行う際、その労働環境に対する配慮とはどのようなものがあるでしょうか。

例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 現場に設置してある装置に安全装置を取り付ける
  • 従業員の労働時間を適正に管理する
  • 各ハラスメントに対する対策と社員への教育

労働環境に対する配慮でわかりやすいものとしては、労働災害から労働者を守るための安全対策や、問題の対象となりやすい長時間労働やセクハラ・パワハラ等が挙げられます。

健康管理に対する配慮

日頃の体調管理は自分で行うことが基本ですが、雇用者は労働者に対して以下の事項に対して配慮することが求められます。

  • 定期的な健康診断
  • ストレスチェックによるメンタルヘルス対策
  • 産業保健師による従業員の健康のサポート

従業員の身体的な健康状態は健康診断によってチェックし、心の健康はストレスチェックや産業保健師のカウンセリングなどによってケアすることが求められます。

体調が良くない従業員がいる場合は放置せずに、治療や産業保健師への相談等の提案をすることが企業・雇用主の義務です。

喫煙問題は労働環境と健康管理の両方に該当する

近年ではハラスメントの種類が増えてニュースでも取り上げられるようになりましたが、タバコの煙による迷惑行為は「スモークハラスメント」と呼ばれています。

ハラスメントだと感じるかどうかは人によって異なりますが、以下のようなものはハラスメントの典型です。

  • 喫煙を強要する
  • タバコの煙を吹きかける
  • 近距離で喫煙する

タバコの煙が大嫌いな人の中には、喫煙から戻ってきた人からタバコの臭いがして不快に感じるだけでも「スモークハラスメントなのでは?」と考える人もいるかもしれません。

よってタバコの煙がハラスメント問題に発展したり、煙から放たれる臭いや有害物質によって健康を害したりする原因となります。

喫煙問題は職場内の労働環境や労働者の健康管理にとても大きな影響を与えるもので、何か問題があれば雇用側の責任によって対応する必要があります。

職場環境配慮義務に該当する喫煙問題を放置すると、次に紹介するような損害賠償請求やハラスメント行為が生じる可能性が出てきます。

受動喫煙の被害によって慰謝料を請求された実例がある

江戸川区の職員が職場内での受動喫煙によって健康被害を受けたことで、区を相手に慰謝料と治療費の支払いを求めて訴訟を起こした事例が実際にあります。

結果は区に対して、原告への慰謝料など5万円の支払いを命じる判決となりました。

情報元:江戸川区受動喫煙損害賠償請求事件

場環境配慮義務を怠ったため、このように実際に社員が雇用側を訴えるという事例が他にもいくつもあります。

喫煙問題は無視することはできないですし、実際に起こってしまえば「社員を大切にしない会社」という悪いイメージを持たれてしまいます。

逆スモークハラスメントが起きる可能性がある

「逆スモークハラスメント」とは、非喫煙者が喫煙者に対してしつこく禁煙を強要したり喫煙することを厳しく叱ったりするハラスメント行為を指します。

厳しい上司が非喫煙者でタバコが大嫌いな場合や、非喫煙者に対して喫煙者の人数が極端に少ない場合に起こりやすいと考えられます。

世の中全体が禁煙を推進するような流れになってきていますが、喫煙者による喫煙する自由というものも尊重しなければいけません。

屋内に喫煙所が設置されていない状況で屋外での喫煙も禁止にしてしまうことは喫煙する権利を害してしまうのでよくありません。

時代の流れによって禁煙を推奨する企業は増えていますが、喫煙者に対する禁煙の強要はパワハラととられてしまいかねないので注意が必要です。

職場を離れて屋外で喫煙するのは合法なのか?

改正健康増進法の施行によって屋内は原則禁煙となりましたが、基準を満たした屋内の喫煙所(喫煙ブース等)を設置した場合のみ喫煙所内での喫煙が許可されます。

屋内に喫煙所を設置していない企業の場合、基本的に喫煙者は仕事場を離れて外で喫煙することになります。

喫煙禁止エリアでなく会社の敷地内であれば外で喫煙することは合法であり問題はありません。

しかし、屋外であっても他者と近い距離で喫煙したり、喫煙時に排出されるタバコの煙が屋内へ流れたりすると受動喫煙の原因になるので良くないでしょう。

これはモラルの問題なので、周りの人の迷惑にならないような範囲であれば屋外での喫煙は自由に行えます。

しかし禁煙や分煙が盛んになり喫煙所が多くなっている現代では、会社の敷地外での路上喫煙はマナーが悪いと感じる人は少なくはないでしょう。

毎日のように会社のオフィスから出入りしながら喫煙している社員の光景を目にすると、その社員が働いている会社のイメージ低下にも繋がります。

会社側は屋外へ出て喫煙している社員の姿は把握しにくいので、歩きタバコやタバコのポイ捨てなどをしていたとしても注意することは難しいです。

喫煙マナーが悪い社員がいた場合は、知らぬ間に会社のイメージを低下させている可能性があります。

例えば会社の敷地内を全面禁煙にした場合は敷地外に移動して喫煙することになりますので、このようなリスクが出てくることを考慮しなければいけません。

であれば「タバコのポイ捨てはしないこと」や「近隣住民に迷惑をかけないこと」など、喫煙のマナーを周知・教育することが注意喚起として必要ではないでしょうか。

喫煙所は屋外にも設置可能ですが、屋外喫煙所の設置に関しては条例や法律が定められていないので企業側に設置の義務はありません。

喫煙場所が屋外だと移動時間が長くなり仕事の能率が落ちる

喫煙者は仕事中でもタバコ休憩をとりますが、屋外まで移動するとなると移動時間も長くなり仕事の時間が削られ能率が落ちます。

また、非喫煙者の中には「喫煙者のタバコ休憩はサボりではないのか?」と感じている者は少なくはないでしょう。

非喫煙者はタバコを吸うために仕事を中断することはありませんが、喫煙者の中には1日の間に何回もタバコを吸いに職場を離れる人もいるでしょう。

そうなると、実質勤務時間が1時間くらい少なくなる場合もあり、労働時間に差が生まれ不公平な状態が発生します。

せめて喫煙ブースなどがオフィス内にあれば屋外へ行くよりも近くなり、職場を離れる時間が短縮されるのでメリットが生まれます。

近年では施設内の全面禁煙化と喫煙室の設置が進んでいますが、喫煙環境が実際にどれくらい変化しているのか見てみましょう。

各施設における屋内の禁煙化や喫煙室の導入率

公的施設や娯楽施設、飲食店、空港、鉄道、工場や事業場などあらゆる場所で全面禁煙化や喫煙室の導入が進んできました。

ここからは厚生労働省の民間事業者による令和3年の喫煙環境を見てみましょう。

調査の対象は無作為に選んだ全国の企業や事業場、法人・団体・地方公共団体です。

第1種施設の喫煙環境

学校や病院、行政機関などは「第1種施設」という分類になりますが、第1種施設では全体の87,4%が全面禁煙となっていて病院は100%となっています。

娯楽要素の無い不特定多数の人たちが利用する施設では全面禁煙率は高いという結果となりました。

情報元:厚生労働省(第1表 第1種施設における喫煙環境)

第2種施設の喫煙環境

一般施設・事業場・工場・作業所・倉庫・配送センター・娯楽施設・飲食店や娯楽施設などは「第2種施設」に分類され、全体の71,6%の施設が屋内全面禁煙となっていて、喫煙専用室を設置している施設は9,2%となっています。

施設によってバラツキはありますが、多くの施設で全面禁煙または喫煙室設置のどちらかを満たしている割合が80%を超える結果となっています。

つまり、8割以上の施設が適切に受動喫煙の防止対策を行っているという事になります。

情報元:第2-1表 一般施設等(第二種施設)の屋内における火をつけて喫煙するたばこの喫煙環境

このデータから、多くの施設の管理者が分煙対策が重要だと認識していると考えられます。

職場環境配慮義務に違反した場合の罰則

職場環境配慮義務の違反が認められた場合、企業は民事上、刑事上の責任を問われる可能性があります。

民事上の責任としては、適切な環境を整えることができなかったことによる債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求の可能性です。

休職をしてしまった際の休業損害や治療費、通院のための交通費、後遺症や介護が必要になった場合の手当など、それが原因の一つとなってしまった場合には、様々な責任が発生することになります。

また刑事上の責任としては、業務上過失致死があり得ます。労働安全衛生法の20条では「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」について定めていますが、万が一その内容にそぐわない対応をしている中で、大きな健康障害に繋がってしまうことが発生してしまえば、これは責任を問われてしまうこととなります。

もちろん、これは必ずしも多く発生する事象ではありませんが、リスクとしてはゼロではないということは頭に入れておかないといけません。

休憩時間中の喫煙禁止は労働基準法違反になる可能性あり

職場の敷地全体を全面禁煙化するのは多くの喫煙者が反対することが容易に想像できますし、会社の敷地外での喫煙マナーが悪いと新たな問題も発生します。

中にはお昼の休憩中であっても施設外のどこにいても喫煙を禁止している会社があり、勤務が終わるまで一切喫煙ができないという状況に置かれている社員がいるケースがあります。

しかし、これだと「休憩時間は自由利用させなければならない」という労働基準法に違反する可能性が高いので慎重に検討する必要があるでしょう。

参考:日本の人事部

上記のとおり、休憩中の時間の使い方は個人の自由であると決められています。

会社側の提案としては、社内に専用の喫煙室を作るという措置があります。ですが、新たなスペースの問題やリフォームにコストがかかるなどして、簡単に取り組むことが難しい場合もあります。そのため、ローコストで新たなスペースの創出が必要とはならない喫煙ブース等を設置するという方法があります。

屋内に設置する喫煙ブースには設置基準が決まっている

オフィスなどの屋内に設置する喫煙ブースは受動喫煙を防止することが目的となっていますので、決められた法律要件(基準)を満たしている喫煙ブースでないと設置して運用することができません。

具体的には排煙装置の機能や有害物質の除去率など、下記の要件となります。

  • 煙を排出する気流が開口面すべての測定点で2m/s以上
  • TVOC濃度の除去率が95%以上
  • 浮遊する粉じん濃度が排出口濃度で015mg/㎥以下

上記の要件は設置する喫煙室の種類により異なります。

情報元:分煙・空気洗浄ガイド

喫煙ブースのメンテナンスを怠ると罰則の対象になる可能性がある

喫煙ブースは使用するほどタバコの煙によって汚れていきますが、定期的に掃除やメンテナンスをしないと性能が落ちていくので先ほど紹介した法律要件を満たせなくなります。

放置すれば喫煙ブース内の環境がどんどん悪くなり排煙機能が低下することで煙がオフィスへ流出して受動喫煙のリスクが高くなり、罰則の対象にもなりかねません。

掃除場所は吸い殻の処理に始まり、壁、排気口などですが、手の届く場所は普段からこまめに清掃しつつ、対応できない場所は定期的に専門業者に依頼するのが基本的な流れとなります。

清掃やメンテナンスを怠ると喫煙者の服や体にタバコの臭いが付着しやすくなり、非喫煙者からクレームが出る可能性が高まりますのでこまめに清掃しましょう。

最後に

ここでは職場環境配慮義務の一つとして喫煙問題を取り上げました。

受動喫煙の問題は近年速度を増して改善傾向にあり、受動喫煙の健康被害を受ける立場にある非喫煙者の意見が強く尊重される傾向にあります。

受動喫煙問題は職場における職場環境配慮義務の1つであり、社内で働くすべての労働者の健康に関わる問題ですので放置せずに確実に対応していきましょう。

喫煙ブースは数人が同時に利用できるものや1人のみで使用するような小さなものまで選択可能です。

例えば喫煙ブースの「SMOKE CLEAR」の場合、広くないオフィスでも設置できるコンパクト設計でありながら法律で定められている基準をクリアする高い空気清浄機能を有します。

「SMOKE CLEAR」はダクト工事が不要なので簡単に設置が可能で、「高性能」・「低価格」「省スペース」を実現している業界でも最高クラスの喫煙ブースです。

わずかな小スペースがあればパフォーマンスの高い喫煙ブースを低コストで導入できるので、あらゆる業種の施設内で簡単に分煙環境が構築できます。

喫煙ブースは喫煙者と非喫煙者の両者が快適に過ごせる職場環境の実現を可能にします。

職場で働くすべての労働者が安心して働ける職場づくりのために、導入を検討してみてはいかがでしょうか。