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2020年4月改正健康増進法施行後の受動喫煙対策について~世界禁煙デーに併せて実施した調査結果を読み解く

改正健康増進法の施行後の世論調査結果

改正健康増進法が2020年4月に施行されて3年が経ち、受動喫煙対策についてどのように意識が変化したのか国立研究開発法人国立がん研究センターがインターネットにてアンケート調査を行いました。

これは法改正後、3年が経過して改正健康増進法や受動喫煙に対する理解状況を示すものです。

調査対象は18歳以上の男女2,029人で、それぞれ1,000人の喫煙者と1,000人の非喫煙者で行われました。(株式会社ネオマーケティング調べ)

結果として、受動喫煙対策が強化されたことを知らない人は全体の52.2%だという事がわかりました。

この52,2%のうち、受動喫煙対策の強化が行われたことは知らなかったけれど、健康増進法が改定されたことを知っていた人が8,1%含まれています。

この数字が少ないのか多いのかはわかりませんが、Webや地上波のニュース番組などで大々的に繰り返し報道することで更に認知度を上げていくことができるのではないでしょうか。

もっと多くの人が関心を抱き記憶に残るような普及活動が求められる結果とも言えます。

喫煙者と非喫煙者で認知状況は大きな差が出ている

次に喫煙者と非喫煙者でどの程度の認識の差があるのか見ていきます。

喫煙者1,000人の回答では、29,7%の人が受動喫煙対策の強化を知らなかったと回答している一方で、知っていたと回答した人は70,2%となりました。

非喫煙者1,000人の回答では56,7%の人が受動喫煙対策の強化を知らなかったと回答している一方で、知っていたと回答した人は43,2%となりました。

喫煙者と非喫煙者では相反する結果となり、喫煙者よりも当事者意識が低い非喫煙者の方が受動喫煙対策の強化への認知度が低いという結果でした。

非喫煙者は喫煙しないので受動喫煙対策が強化されても不便を感じることがないので自身に対するデメリットはありません。

対して喫煙者はこれまでの喫煙スタイルに影響が出ることが予想されるので、喫煙に関する規制の動きに対しては関心が強いということではないでしょうか。

 施設の管理者が法律や条例を把握していない

飲食店や施設の管理者には受動喫煙に関する法律や条例をしっかり理解した上で、必要な措置を講じる必要があります。

例えば、「喫煙目的店では未成年者は雇用できず、主食は提供してはいけない」などです。

フロアの大きさや業務形態などによって講じなければいけない受動喫煙対策は異なりますが、個人経営店では一切対策が施されていないケースがあります。

理由としては上記と同じように、施設の管理者が受動喫煙対策が必要であるということを認知していない可能性があります。

また、必要性は理解してはいるが手間とお金がかかることで放置しているということもあるでしょう。

これは施設の管理者への厳しい指導が無かったり、違反時のペナルティーが緩いことが影響していると考えられます。

非喫煙者のリアルな意見も求められる

国は非喫煙者の健康を守るために受動喫煙対策を講じていますが、実際に受動喫煙の被害を受ける立場にある非喫煙者の意見がとても大事ではあります。

喫煙者に対してどのような配慮を求めたいのか、施設内の環境をどう整備してほしいのか、苦情や要望を主張する権利があるので積極的に主張することも必要です。

喫煙するしないに関わらず、喫煙することで発生する煙やニオイ等への問題点や苦情は、喫煙ブースを販売するメーカーにとっては良い製品を開発する足掛かりとなるものなので貴重となります。

日本人は控えめな性格だと言われていますが、苦情を言うことは自身の健康を守るための権利なので遠慮せずに主張してほしいものです。

苦情は飲食店内ではスタッフや店長だったり、施設であれば施設管理者へ伝えるのが良いでしょう。

苦情は施設の環境を快適に整えるために必要なもので、喫煙ブースを開発しているメーカにとってとても貴重な意見だということです。

受動喫煙対策の強化について認知している取り組み

受動喫煙対策にはいろいろなものがありますが、強化された取り組みの中で特に認知度が多かったものが「施設屋内の原則禁煙」で53,4%となりました。

次いで「小規模飲食店では喫煙が可能な店と不可能な店がある」が51,2%となっていて、灰皿が撤去されていたり禁煙の標識によって認知度が高くなっていると予想されます。

一方で半数近くの人が上記について認知していないという結果となり、まだまだ広報活動の強化や取り組みに改善の余地があるとも言えます。

認知度が低かった受動喫煙対策

反対に認知度が低かった受動喫煙対策としては、「喫煙できる場所(喫煙室等)に20歳未満の人を立ち入れない」が23,7%で7割以上の人が知らないという結果となっています。

これに関しては施設の管理者が未成年に受動喫煙をさせないために、喫煙ブースに「20歳未満は立ち入り禁止」の標識を表示する等の対応が必要なので把握しておかないといけません。

そして従業員が20歳未満であれば仕事場も禁煙にする必要があります。

また、違反者への罰則が設けられていることを知っている人は20%となっていて、8割の人が知らないということがわかりました。

例えば喫煙禁止区域での喫煙の取り締まりなどは地域によって差があるので認知度も住んでいる地域によっても差がありそうです。

喫煙者で違反行為をしていたとしても実際に取り締まりを受けたことが無い人も大勢いるのではないでしょうか。

受動喫煙を防止するための周囲への配慮について

喫煙時の周囲への配慮について、最も良いと思うものは「周囲に人がいる場所では喫煙しない」が62,5%でした。

その他、外出時・自宅・車内など、「子供がまわりにいる場所では喫煙しない」という意見が多いという結果になり、特に子供への配慮意識が高いと言えます。

喫煙者への意識調査結果

非喫煙者は喫煙者に対して、近くに人がいる状況での喫煙は遠慮してほしいと思っていることがわかっています。

他人が喫煙しているときのタバコの煙にさらされることを迷惑に思う人が、非喫煙者では77.2%、喫煙者では36.2%という結果となりました。

タバコの煙にさらされることを迷惑だと思わない非喫煙者が約2割弱もいることがわかり意外な気がする一方で、普段からタバコの煙を身近に感じている喫煙者でも他人のタバコの煙に嫌悪感を抱く人が約3割弱いるというのも興味深いです。

また、タバコの煙が特に気になる場所として「路上」の割合が64.1%と最も多く、路上喫煙者が多いとも言える結果となっています。

法律の改正によって全国的に建物内の禁煙化が進んでいることで路上喫煙する人が増えていますが、喫煙禁止区域が少ない事や屋外喫煙所の設置不足も影響していると考えられます。

次に多いのは「屋外喫煙所付近」が34,3%、「食事を提供する店舗」が31,2%となっていて、やはり喫煙場所の近くを通過するときにタバコのニオイや煙が不快に感じることが多いという結果になりました。

屋外に設置されている喫煙所であってもタバコの煙が外へ漏れる構造になっているのであれば受動喫煙のリスクが高いので、路上で喫煙しているのと大差はないと考えられます。

また、そもそも分煙されていない飲食店や、未だにテーブルに灰皿を置いていて喫煙可能な飲食店も存在します。

「食事を提供する店舗」にて不快な思いをした人の中には、受動喫煙対策が全く行われていない飲食店での経験が含まれている可能性もあります。

屋内全面禁煙にしておるオフィスは、多数、あります。タバコを吸われる方は、公共の喫煙所を利用している場合でも、喫煙所付近のタバコのニオイを気にされている人が多数います。更に、公共の喫煙所がないため、仕方なく、オフィス近隣の外(ビルの影など路上)でタバコを吸われる場合もあります。飲食店においても、屋内全面禁煙にしている場合、お客さまが店舗の前など(路上)でタバコを吸ってしまう場合があります。タバコのニオイを不快に感じている場所の中で、路上が一番多いです。

また、席での喫煙可としている飲食店さまがあります。タバコのニオイを不快に感じている方が多くいらっしゃいます。

企業の社会的責任(CSR)が着目されている中で、路上や店内など、不快に感じる人がいらっしゃる状況と改めて向き合うことも大切ことではないかと考えられます。

政府に望みたい強化してほしいタバコ対策

健康増進法が改定されて喫煙環境が厳しくなっていますが、あまり実感が無い人や、そもそも法律が改定されたことすら知らない人がいるというのが現状です。

政府や地方自治体の活動にインパクトが無いのか、喫煙者の当事者意識が低いことや直接的な影響が少ないことが影響しているのかもしれません。

そもそも日本は海外に比べて喫煙に関する罰金が小さいことや、違反の取り締まりが甘いのかもしれません。逆に、タバコは嗜好品でもあり、タバコを吸える場所を提供する施設、タバコを吸う方の自主性にまかされている部分が大きいのかもしれません。そして非喫煙者が政府に力を入れてほしいタバコ対策として以下のような意見が出ました。

  • 1位 タバコ税の引き上げ9%
  • 2位 受動喫煙対策の強化5%
  • 3位 タバコの健康被害についての普及活動の強化9%

1位のタバコ税の引き上げという対策は、そもそもタバコの購入を難しくしてほしいという意図が読み取れます。一方では、酒税が1兆2,000億円/年に対し、タバコ税は2兆円/年あります。喫煙所を増やすなど、タバコ税の使い道の議論も出ています。

2位と3位に関しては今以上にタバコの煙から身を守るために分煙を強化しつつも、タバコの健康被害をもっと周知してもらうことで喫煙を控えてもらいたいという意図が読み取れます。

このような意見が出ている実態を見るとやはり現状の受動喫煙対策では効果が薄いというか、まだまだ改善の余地があるという印象を受けます。

政府への期待だけではなく、企業や飲食店の取組みの強化が必要にも感じられます。

調査結果は以上となりますが、発表によるとこれらの結果は政策検討のための1つの参考としての位置づけのようです。

情報元:https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0531/index.html

周りの人をタバコの煙で不快にさせない配慮は必要

上記で紹介した調査結果では、やはり喫煙時に発生するタバコの煙による不快感を持っている人が多く、そこを改善してほしいという声が多かったように思います。

屋内が禁煙になっている施設が増えていることで路上喫煙する人が多くなり、知らぬ間に周囲に迷惑をかけているというケースは少なくないでしょう。

特にオフィスビルが密集する都内では路上喫煙がニュースで取り上げられて問題となっていました。

自社の社員が路上喫煙しているというのは、企業のイメージ低下につながる原因にもなりますし、喫煙時の煙が直接周囲の人にさらされてしまうというのは良くありません。

喫煙ブースの利用によって適切な禁煙環境を構築しよう

調査結果を見ると「タバコの煙にさらされるのが嫌なので喫煙しないでほしい」という非喫煙者の意図が読み取れますが、喫煙者も自宅に帰るまで一日中ずっと禁煙するのは困難であり、禁煙を強制させることはできません。

喫煙できない事で社員が会社を訴えるという事案も実際にあるので喫煙者にも配慮した対策が必要となります。

不特定多数の人が利用するオフィスなどは完全禁煙化して、煙を一切外に排出させない禁煙ブースを設置することで喫煙者と非喫煙者の両者に配慮した環境を構築することが可能となります。

喫煙ブースを導入する事は今の時代に合った正しい禁煙の形となり、今以上に必要となってくることは間違いないでしょう。

受動喫煙に関する対策や罰則は厳しくなることはあっても緩くなることは考えにくいので、職場の環境に応じた適切な対策が必要となります。

喫煙ブースは多種多様に用意されていますので、職場の環境に合ったものを検討されてみてはいかがでしょうか。

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