喫煙環境が減少している現代、分煙のために喫煙室の設置を検討する事業者も多いはずです。しかし、サイズや設置条件といった要素から、設置できるのか不安に感じることもあるでしょう。
今回は、喫煙室の設置について、設置の難易度や効果などを解説します。分煙対策を始める際に押さえたい基礎知識も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
喫煙室の設置が注目される理由

現在の喫煙環境は、喫煙者にとって厳しい状況となっています。1000人を対象としたある調査では、喫煙者の約8割が現在の喫煙環境に不便を感じていると回答しました。
(出典:PR TIMES「喫煙ルール遵守実態と今後の予測調査(20代~60代の喫煙者・非喫煙者男女計1000人に実施)」/https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000008679.html)
このような状況下で、喫煙者と非喫煙者の双方にとって快適な環境を実現するために、分煙対策の重要性が高まっているのです。
分煙を実現する方法はいくつかありますが、中でも喫煙室の設置は、より確実な分煙効果が期待できることから注目されています。喫煙室を設置すると、タバコの煙が喫煙室外に流出することを防ぎ、非喫煙者を受動喫煙から守れます。
また、喫煙者にとっても周囲を気にせずに喫煙できる場所が確保されるため、マナー違反の減少につながる可能性があるのです。
喫煙室の設置は難しい?

結論、喫煙室の設置は手軽なものではありません。新たに喫煙室を新設する場合は基本的に工事が必要となり、それに伴う費用や時間も発生します。
また、喫煙室の設置には受動喫煙防止対策に関する厚生労働省のガイドライン、消防法や建築基準法など、満たすべき基準が設けられています。これらの基準を満たすためには、一定の広さや換気設備、構造などが必要です。
上記のような背景から、既存施設への導入が難しいケースもあります。その結果、分煙対策が進まない飲食店、オフィスなどが増えている状況です。
喫煙室を設置することによる効果

喫煙室を設置することで、分煙効果以外にもさまざまなメリットが期待できます。主な例は以下の通りです。
・受動喫煙の防止
喫煙室の設置によって、タバコの煙が室内から漏れることを防げます。その結果、非喫煙者への受動喫煙のリスクを大幅に低減できます。
・マナー向上
喫煙環境を用意することで、隠れてタバコを吸うといったマナー違反の抑制につながります。
・従業員満足度の向上
職場に喫煙室を設置すると、喫煙者がタバコ休憩を取る際の利便性が向上します。また、ニオイや煙が気になる非喫煙者にとっても、喫煙室があれば安心して過ごせます。
・企業イメージの向上
喫煙・分煙対策に積極的に取り組む姿勢は、従業員だけでなく、顧客や取引先からの評価にもつながります。特に健康経営を推進する企業にとっては、重要な取り組みです。
・インバウンド対応
海外からの観光客の中には、日本の喫煙ルールに対する理解が十分ではない場合もあります。喫煙室を設けることで、トラブルを抑止する役割も期待できます。
喫煙室よりも簡単に設置できる「喫煙ブース」

喫煙室の設置が現実的に難しい場合、代替案として「喫煙ブース」の設置がおすすめです。喫煙ブースは喫煙室と比較して、以下のようなメリットがあります。
・省スペースで設置できる
喫煙ブースはコンパクトな設計のものが多く、限られたスペースにも設置しやすいのが特徴です。喫煙室の設置を諦めている小規模の事業所でも、喫煙ブースであれば導入できる可能性があります。
・喫煙室と同等の効果を期待できる
性能の高い喫煙ブースは、空気清浄機能や換気機能に優れています。喫煙室と比べてサイズが小さいものの、喫煙室以上の分煙効果を期待できます。
・清掃の負担が少ない
タバコの煙を吸引する機能が強ければ、壁が汚れることもありません。灰皿の交換のみで清掃が済むケースが多く、負担が少ない傾向にあります。
喫煙室を設置する場合の費用は?

喫煙室を設置する場合の費用は、サイズや設備の内容などによって大きく変動します。一般的な相場は決まっていないため、正確な費用を知りたい場合は、専門業者に見積もりを依頼することが不可欠です。
建物の状況や設置場所の条件などを伝え、複数の業者の喫煙ブースを比較検討しましょう。
喫煙ブースを設置した企業の実例
ここでは、喫煙ブースを設置した企業の実例について2つ紹介します。
専門商社の「スミセ建材株式会社」は、オフィス移転にともなって喫煙ブースを導入。移転前のオフィスには喫煙室を設けていていましたが、事務所の中心部分にあったことから、タバコのニオイや煙が執務内に漏れていたのです。
非喫煙者からも不評の言葉が聞かれる中、喫煙ブースを導入。それによってオフィス内での分煙に成功し、社内全体の空気感が改善されたと話します。
インタビューの全文は、以下よりご覧ください。
【導入事例】スモーククリアのおかげで分煙が進み、社内環境がよくなりました。
北海道登別市にある温泉旅館「御やど清水屋」は、客室内に残ったタバコのニオイに対し、利用客からクレームが届いていました。その後、客室の全室禁煙化にともない、本格的な対策が求められた結果、喫煙ブースの導入を決めました。
喫煙ブースを用意した結果、クレームは減少。また、従業員の清掃負担が大幅に減少するという効果もありました。
【導入事例】クレーム対策で導入して数ヶ月、もっと早く導入すればよかったと思っています。
喫煙ブースを導入するお店に潜入取材!
ここまで喫煙室と喫煙ブースについて紹介してきました。では、実際に喫煙ブースがどう使われているのか、今回は2店舗に潜入取材しました!
1店舗目は東京にあるカフェです。銀座エリアのため、今回は東京駅から歩いて向かいます。

駅から歩いて10分程度の場所に、目的地のカフェがありました!

都内に複数の店舗を構えるカフェですね。平日ですが利用者は非常に多く、さまざまな年代の方で賑わっていました。
店内奥、お手洗いの近くに設置されていたのが、こちらの喫煙ブースです!1人用のサイズということもあり、省スペースが実現していますね。

カフェでタバコを吸いながら、ゆっくりと過ごしたい方からすると、喫煙ブースがあるだけでも嬉しいですよね。
また、他店舗では以下のように、喫煙専用ルームを設けるところもあります。ルームの中に喫煙ブースを設置し、紙巻きタバコは喫煙ブースで吸うという形です。

少し分かりづらいですが、黒い線が入っているのが喫煙ブースです。ガラス越しでも頻繁に利用されている光景が見られました。

続いて、もう1店舗は京都にあるカフェです!阪急電車、烏丸駅の近くに目的のカフェがあります。

店内はこのような構造になっており、画面左端に喫煙ブースがあります。すでに利用しているお客さんがいます!

こちらは2人用の喫煙ブースとなっています。店内に滞在する中で、1人で利用する人、2人で利用する人の両方が見られました。

仮に店内に喫煙室を設置する場合、より大きなサイズとなるため、客数を減らす可能性も考えられます。しかし、喫煙ブースのサイズ感であれば、大きなスペースを必要としません。
少しでも喫煙ブースの導入を検討している場合は、ホームページからメーカーや販売業者に一度問い合わせてみましょう。
例:株式会社エルゴジャパン
喫煙(分煙)ブース・ボックス・キャビンはスモーククリア|エルゴジャパン
まとめ
今回は、喫煙室の設置について解説しました。
喫煙室の設置にはさまざまなハードルがあり、設置までに時間を要することも珍しくありません。負担を抑えた分煙対策を実現したい場合は、喫煙ブースのほうがおすすめと言えます。
喫煙ブースには決まった相場がないため、費用について知りたい際はホームページからメーカーや販売業者に問い合わせましょう。また、導入時は複数メーカーの喫煙ブースを比較検討し、自社に適したものを選ぶことが大切です。

