改正健康増進法の全面施行に伴い、オフィスや店舗などの施設において、適切な受動喫煙防止対策を講じることが義務化されました。これを受け、「分煙対策を進めたいけれど予算が足りない」「喫煙所を新たに設置した場合、維持費はどのくらいかかるのか」と頭を悩ませる担当者も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、厚生労働省による「受動喫煙防止対策助成金」の活用です。この制度を使えば、初期費用を大幅に抑えて喫煙ブースなどの分煙設備を導入できます。
本記事では助成金の概要や要件に加えて、分煙対策として喫煙ブースを選ぶメリットや、設置時の注意点などを解説します。
分煙対策で活用できる「受動喫煙防止対策助成金」

厚生労働省は働く人々や利用者の健康を守るため、「職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業」を展開しています。その代表的な取り組みが「受動喫煙防止対策助成金」です。
これは一定の要件を満たした中小企業の事業主が、受動喫煙対策を目的とした喫煙室の設置や改修を行う際、費用の一部を国がサポートする制度です。
申請にあたってはいくつか注意すべきポイントがあります。この制度は補助金ではなく助成金であり、かかった費用の全額を国が負担するわけではありません。あくまで費用の一部を助成するものであるため、自己負担分が発生することを想定し、予算計画を立てる必要があります。
また、原則として工事の着工や設備の購入前に申請して交付決定を受ける必要があり、事後申請は認められない点にも注意が必要です。
(出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html)
受動喫煙防止対策助成金の概要

受動喫煙防止対策助成金は、すべての事業者が無条件で受給できるわけではありません。助成金を受けられる要件について、「助成対象」と「助成率・上限額」の観点から解説します。
助成対象
助成金を受けられる対象は「既存特定飲食提供施設」に該当する飲食店です。また、助成対象は改正健康増進法の技術的基準に適合する「喫煙専用室」や「指定たばこ専用喫煙室」の設置・改修にかかる経費です。
対象となる中小企業の事業主には以下のような条件があります。
・労働者災害補償保険の適用を受ける
・健康増進法で定める既存特定飲食提供施設を営んでいる
・常時雇用する労働者数・資本金が各業種の基準以下である
・対策を講じた区域以外をすべて禁煙にする
(出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金のご案内」/https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001500039.pdf)

助成率・上限額
具体的な助成率と上限額は、以下の通り業種によって異なります。
・飲食店を営む事業主:助成率 3分の2(上限額 100万円)
(出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金のご案内」/https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001500039.pdf)
分煙対策で喫煙ブースを設置するメリット

近年は、パッケージ型の喫煙ブースを導入する企業や店舗が増えています。代表的な3つのメリットを説明します。
喫煙場所を明確に分けられる
喫煙ブースを設置する最大のメリットは、物理的かつ明確に喫煙場所を隔離できる点です。十分な対策がなされていない簡易的な仕切りだけでは、ドアの開閉や人体の移動に伴って、タバコの煙やニオイが非喫煙エリアに漏れ出してしまいます。
しかし、高性能な排気システムや特殊フィルターを搭載した喫煙ブースであれば、煙やニオイをしっかりと閉じ込めて浄化します。非喫煙者の受動喫煙を防ぎ、清潔な環境を保つことが可能です。
工事が難しい施設でも導入できる
喫煙専用室をつくる場合、タバコの煙を屋外へ排出するための配管工事が必須です。しかし、ビル全体の構造や賃貸借契約の都合から、壁に穴を開けられないテナントも多くあります。
一方、排気ダクトが不要な喫煙ブースであれば、大がかりな内装工事は不要です。設置スペースや利用人数に合わせたサイズのブースを組み立て、家庭用コンセントに接続するだけで手軽に分煙環境を実現できます。
施設の印象や利用者満足度の向上につながる
デザイン性に優れたスタイリッシュな喫煙ブースを導入し、館内の喫煙ルールを明確に整理することは、施設全体の印象改善につながります。
非喫煙者には「クリーンな空間が守られる安心感」を、喫煙者には「周囲に気兼ねなく息抜きできるスペース」を提供できます。その結果、従業員のモチベーション向上や顧客の満足度向上、ひいては企業のイメージアップに貢献します。
助成金を活用して喫煙ブースを設置する際の注意点

助成金を活用して喫煙ブースを導入する際は、事前に理解しておくべき注意点があります。ここでは2点紹介します。
年度ごとの受付状況を確認する
受動喫煙防止対策助成金は、国の予算に基づいて毎年度実施されています。令和7年度の新規申請は終了していますが、分煙対策を急ぎたい、あるいは検討中という場合は、令和8年度に再び募集される可能性があることを押さえておきましょう。
公募がスタートしてから検討を始めると、希望する予算枠の終了や見積もりの手配に追われ、申請に間に合わなくなるケースがあります。社内で必要なブースの大きさや、候補となる製品をあらかじめ選定し、いつでも申請できる状態をつくっておくことが大切です。
なお、東京都では令和8年度の募集が開始されており、9月11日が締切となっています。
(出典:東京都「令和8年度受動喫煙防止対策支援補助金募集要項」/https://kenko-station.metro.tokyo.lg.jp/files/r8hojoyoukou.pdf)
設置後の運用ルールにも注意する
喫煙ブースは設置したら終わりではありません。その後の適切な管理と、喫煙所の維持費を予算化しておく必要があります。主な維持費にはフィルター交換費用、清掃費、電気代などがあります。これらを持続的に捻出できるよう、運用予算を組んでおきましょう。
また、設置後の運用に関するルール整備も欠かせません。標識掲示や20歳未満の立ち入り禁止などを徹底し、適切に運用しましょう。維持費の見積もりと厳格な運用体制の確立が、健全な分煙環境を維持する鍵となります。
喫煙ブースの導入効果が見られた事例2つ

ここでは、喫煙ブースを導入したことにより、効果が発揮された事例を紹介します。
ライブ動画制作やレコーディングスタジオの提供など、音楽に関するサービスを展開するアトヨンサウンドファクトリー。以前は社内に喫煙環境がなく、喫煙のために外出する必要がありました。
そんな中、スタジオオープンから10周年のタイミングで喫煙ブースを導入。価格以上の恩恵を受けられたと話します。
詳しい内容は以下からご覧いただけます。
【導入事例】価格以上の恩恵を受けられるので、大満足以外の言葉がありません。
また、高知県の旅館、三翠園も喫煙ブースを導入しました。宴会場を備えている特性上、大きな喫煙ブースが必要な状況でした。
そこで、4人用の喫煙ブースを導入した結果、多くのお客様が利用する状況になっています。詳しい内容は以下からご覧いただけます。
【導入事例】サイズ、費用、デザインのすべてでスモーククリアに満足しています。
喫煙ブースは現場でどう使われている?
喫煙ブースが現場でどのように使われているのか、今回は飲食店に取材を実施しました!
最初に訪れたのは東京の蒲田です。蒲田駅から数分歩いた居酒屋に、喫煙ブースが設置されているとのこと。


全国的に名の知れた鳥貴族さんです!平日の19時ごろに伺い、予約で埋まっている状況でしたが、30分のみ滞在できることになりました。

店内が多くのお客さんで賑わう中、歩いていくと喫煙ブースがありました!


居酒屋に喫煙ブースが設置される事例は珍しくありません。こちらのお店でも多くのお客さんが利用する光景が見られました。お客さんにとっても、喫煙ブースがありがたい存在であることは間違いないでしょう。

さらに今度はカフェでの活用状況も調査しました!続いては東京の大崎です。

大崎駅から歩いてすぐの「GATE CITY OHSAKI」の中にあるカフェに、喫煙ブースが導入されているようです。

少し歩くと目的地のお店がありました!やや落ち着いた雰囲気のカフェです。

こちらのお店では、以下の写真のように喫煙ブースが囲われていました。食事をしているお客様から喫煙している姿が見えないように対策されていました。

中はこのような形になっており、複数人で利用できる広さになっています。この広さがあれば、複数人で一緒にタバコを吸うことができますね。

また、ニオイや煙は外にいてもまったく感じませんでした。カフェでゆっくり過ごしたいときに、タバコが気になるのは嫌ですよね。誰もが落ち着いて過ごせるように、喫煙ブースは大きな役割を果たすのです。
まとめ
職場や店舗における受動喫煙対策は、法的な義務を果たすだけでなく、施設に関わる人の健康を守るための重要なステップです。厚生労働省の受動喫煙防止対策助成金を活用すれば、最大100万円のサポートを受けつつ、初期費用を抑えて設備を導入できます。令和8年度の募集再開に向けて、準備を進めていきましょう。
また、分煙対策には喫煙ブースがおすすめです。導入に必要な負担を抑えつつ、分煙対策を実現する方法として、選択肢に入れておきましょう。

