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分煙対策に活用できる助成金・補助金一覧

改正健康増進法が施行されたことで、事業者は施設の敷地内での完全禁煙もしくは受動喫煙防止対策を行う義務が発生しました。受動喫煙防止対策としては喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室の設置などが挙げられます。しかし、法律のガイドラインに沿って設備を整えると多大な費用がかかり、中小や個人経営の施設・飲食店は経営への負担が避けられません。

そこで国は受動喫煙防止対策助成金を、条件を満たした事業者に支給し、事業者の負担を軽減する施策を行っています。加えて各自治体でも独自に補助金・助成金を支給しているところがあるので、今回は一部ご紹介します。

注意点として、補助金・助成金の支給は設定されている期間が終了したり、予算の上限に達したら申請ができなくなります。現在実施されている施策でもいつ終わるか分からないので、早めの申請を心がけましょう。(※2021年8月現在の情報です)

受動喫煙防止対策助成金(厚生労働省)

分煙に関する助成金でまず押さえておかなければいけないのが、厚生労働省管轄の受動喫煙防止対策助成金です。内容について解説していきます。

適用条件

労災(労働者災害補償保険)が適用される事業者であること

労災に関しては従業員を一人でも雇っていれば加入しなければならないため、クリアする法人は多いはずです。ただし、一人親方や個人事業主で、人を使っていても雇用関係でなく外注のような場合は労災が適用される事業者には当たらないことがあります。

第二種施設を営む中小企業事業主であること。

第二種施設とは一般的な飲食店や事業所、工場やホテル、交通機関など、一般的に利用される施設を指します。つまり商用の施設であればほとんどが第二種施設にあたります。教育や医療・福祉関係、行政の施設などは第一種施設となるので、受動喫煙防止対策助成金の対象外です。

上記2つを満たすことで第二種施設を営む中小企業事業主であるとみなされます。各業種の細かい事業内容については厚生労働省のサイトをご確認ください。

※中小企業の定義は業種によって異なります。
小売業:常時雇用人数50人以下、資本金5,000万円以下
サービス業:常時雇用人数100人以下、資本金5,000万円以下
卸売業:常時雇用人数100人以下、資本金1億円以下
その他の業種:常時雇用人数300人以下、資本金3億円以下

支給額や対象となる費用

受動喫煙防止対策助成金は上限を100万円までとして申請することができます。ただし、業種によってルールが異なります。

飲食店:経費の2/3
飲食店以外:経費の1/2

つまり経費が180万円かかった場合、飲食店は経費の2/3を計算すると120万円となるため、支給上限の100万円を申請できます。ただし飲食店以外の業種が180万円かかった場合は、経費の1/2なので90万円までしか申請できません

さらに、面積による規定もあり、60万円/㎡が支給上限です。あまりにも狭い喫煙室の設置だと実際に発生した経費に関わらず支給額も少なくなります。

助成対象として認められる経費の種類も制限があります。とはいえ基本的には分煙を実現するために必要な設備費用、工事費用、手続き費用は助成対象として認められる傾向です。ただし、建物の新たな建設やエアコンの設置、既存設備の解体費用、測定費用などは「特別に必要と認められる場合に限る」と注意書きがあります。

気をつけないといけないのが直接分煙機能に関係ない部分の経費です。デザイン料や消耗品、家具、インテリアなどは助成対象として認められません。また、申請を代行する業者や士業(行政書士など)へ支払った経費も対象にはなりません。

お店や施設の方向性から豪華な内装やデザイン、素材などを採用するケースがあるかもしれませんが、その場合も前述した60万円/㎡が支給上限であることを覚えておきましょう。

いつ申請、いつ支払われる?

受動喫煙防止対策助成金の申請は工事の着工前に行わなければなりません。申請が受理された場合は交付決定通知書が発行されます。支払いがされるのは自分で工事費用を支払い終え、必要な報告書類や請求書を提出した後です。

注意点としては、自分で費用を支払う際は一括払いをしなければならない点です。分割払いやリース契約は対象外です。また、親会社が支払う等、支払名義が違う場合も対象外となります。必ず自分名義で現金やカードでの一括払いをしましょう。

生衛業受動喫煙防止対策事業助成金

多くの事業者は前述の受動喫煙防止対策助成金の申請を検討するはずですが、条件に該当しない事業者もいます。従業員の雇用をしていない一人親方や個人事業主、全て業務委託のような形で外注しているケースです。そのような事業者のために生衛業受動喫煙防止対策事業助成金があります。

適用条件

生衛業受動喫煙防止対策事業助成金を申請するためには以下の2つに該当している必要があります。

労災(労働者災害補償保険)が適用されない事業者であること

労災に加入する義務があるのは従業員を雇用している事業者です。つまり一人で事業を行っていたり、家族経営の店舗は労災に加入していないケースが多いです。また、店舗で働くスタッフがいても直接雇用はしておらず、スタッフを外注や業務委託で運用しているような場合も労災に加入していないことがあります。

生活衛生関係営業を営む事業主かつ、既存特定飲食提供施設の事業主であること

生活衛生関係営業に区分されるのは、飲食店だけでなく旅館や理美容店、温浴施設、クリーニング業など国民の生活に密着している事業です。その中でも、既存特定飲食提供施設の事業主のみが生衛業受動喫煙防止対策事業助成金の対象となります。つまり、飲食店がついていないクリーニング屋や理美容店は、たとえ個人経営や家族経営であっても対象外です。個人・家族経営の飲食店や宿泊施設などが主な対象として考えられます。

受動喫煙防止対策助成金との違い

支給額や対象となる費用などの基本的な内容は、生衛業受動喫煙防止対策事業助成金も受動喫煙防止対策助成金もほぼ同じです。ただし、生衛業受動喫煙防止対策事業助成金は支給の上限は費用の2/3(上限100万円)とだけ定められています。受動喫煙防止対策助成金では飲食店以外は費用の1/2とされていますが、生衛業受動喫煙防止対策事業助成金では飲食店以外に支給する前提がありません。

自治体独自の分煙対策助成金について

公衆喫煙所整備費助成・喫煙専用室等整備費助成(新宿区)

新宿区では区内の施設で分煙対策を行った事業者に対して区独自に助成金を提供しています。注意点として、既に国や都から助成金の支給を受けている事業者は利用できません。国の受動喫煙防止対策助成金よりも支給額が大きいので、どちらかを選ぶとしたら新宿区の助成金の方が得です。新宿区に事業所や建物がある人は先にこちらを検討しましょう。

公衆喫煙所整備費助成は、区内に一般に開放する公衆喫煙所に対して消費税を除いた費用の100%を負担するというもの。助成限度額は屋内公衆喫煙所が1,000万円、屋外公衆喫煙所(コンテナ型)が1,000万円、屋外公衆喫煙所(パーテーション型)が600万円と、かなり大きな額までカバーできます。無料で利用でき1日8時間以上かつ週5日以上運営すること等の規定があります。

喫煙専用室等整備費助成は内容は国の受動喫煙防止対策助成金と似ていますが、額が大きく違います。助成限度額は250万円までとなっており、実際にかかった費用の9/10まで支給されます。受動喫煙防止対策助成金は上限100万円、費用の2/3までなので、新宿区の方が条件が良いです。

屋内喫煙所設置費等助成(港区)

港区でも一般開放可能な屋内(屋外のコンテナ型も含む)喫煙所を設置した場合に助成をしています。設置に関わる経費と維持管理に関わる経費を両方申請可能なのが特徴です。 設置に関わる費用に対しての助成は広さによって細かく規定がありますが、400万円から1,000万円を上限として発生した費用の100%支給されます。

また、維持管理に関わる経費は、連続した10年間の助成を受けることができ、1年目から5年目までは144万円/年、6年目から10年目までは72万円支給されます。

屋内喫煙所設置助成事業(千代田区)

千代田区の屋内喫煙所設置助成事業は新規で喫煙所を整備する場合の初期費用助成とすでにある喫煙所をリニューアルする場合の更新費用助成、さらに維持管理費助成の3項目で構成されています。

初期費用助成が700万円を上限として費用に対して100%、更新費用助成が700万円を上限として費用に対して100%支給されます。維持管理費助成は賃料相当額は費用の100%、他の費用は4/5の計算で年間264万円を上限に支給されます。維持管理費の助成期間は5年間です。

渋谷区公衆喫煙所設置費等助成(渋谷区)

渋谷区は屋内屋外の公衆喫煙所に対して助成を出しています。設置にかかる経費は300万円を上限として費用の100%支給、維持管理にかかる経費は10万円/月を上限として費用の100%支給です。

文京区屋内喫煙所設置費等助成(文京区)

文京区も屋内型の公衆喫煙所に対して助成を出しています。設置経費は400万円を上限として費用の100%支給、維持管理経費は60万円/年を上限として費用の100%支給です。

岡山県受動喫煙防止対策支援事業費補助金(岡山県)

岡山県で既存の飲食施設が禁煙対策を行う際の費用の補助を行っています。個人または中小企業が営業しており客席面積100㎡以下のお店が対象です。

特徴は喫煙や分煙の設備を撤去する費用が対象になっていること。店内を完全禁煙にする場合に使える補助金です。

完全禁煙化することで交換が発生する壁紙やフローリング、家具製品の購入費用、既存設備の撤去費用の1/2を上限10万円まで支給されます。

大阪府受動喫煙防止対策補助制度(大阪府)

大阪府の補助制度は府内の飲食店が利用できる大変ありがたい制度です。国の受動喫煙防止対策助成金と内容はほぼ同じで、さらに受動喫煙防止対策助成金と合わせて利用することができます。

具体的な助成額としては国とほぼ同じ内容で、300万円を上限とする費用に対して3/4が支給されます。つまり最大225万円の支給が可能です。

ただし、国の受動喫煙防止対策助成金も申請する場合、その分は総支給額から差し引かれます。仮に上限の300万円の費用がかかった場合、大阪府から支給することができるのは計算上は225万円です。しかし、この場合国にも申請すれば受動喫煙防止対策助成金がそちらの上限の100万円支給されることになります。つまり225万円-100万円(国)=125万円
が大阪府受動喫煙防止対策補助制度で支給される額となります。国の上限を大きく超える経費が設置に発生している場合にはぜひ活用したい補助制度です。

豊橋市受動喫煙防止対策助成金(豊橋市)

豊橋市も独自に飲食店に対して助成金を出しています。こちらも受動喫煙防止対策助成金と内容はほぼ同じで、喫煙所の設置・改修に対して50万円を上限として経費の1/2まで支給されます。また、完全禁煙にする場合の改修に対しては20万円を上限として経費の1/2まで支給されます。

豊橋市に関しては国の受動喫煙防止対策助成金で支給分が差し引かれるということもないため、純粋にプラスアルファの助成金として利用することができます。

事業復活支援金

これは経済産業省から2022年に新たに発表された支援金になります。分煙等に直接影響があるわけではありませんが、新型コロナウィルスの影響を受けた中小企業にとっては是非とも活用したい制度になります。

給付対象は、次の2つの条件を満たす中小法人・個人事業者となります。

(1)新型コロナウィルス感染症の影響を受けた事業者

(2)2021年11月~2022年3月のいずれかの月(対象月)の売上高が、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月(基準月)の売上高と比較して、50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者

給付額は上限最大250万円までが認められます。

募集期間や条件などもあるので、ぜひ経済産業省の案内ページをご確認ください。

自分が事業を行っている自治体の施策を調べましょう

一部紹介しましたが、自治体独自の分煙対策の助成金は数多く行われています。新宿区のように国やその他の助成金を申請していては使用不可のもの、大阪府のように申請はできるが国の助成額が差し引かれるもの、豊橋市のように純粋にプラスアルファでもらえるものなど、支給基準が異なります。また、金額もかなり異なるので、もっとも自分の負担を減らせる利用方法を考えることが大切です。