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タバコによる受動喫煙問題を考える

受動喫煙とはどういうもの?

受動喫煙問題

受動喫煙という言葉はよく耳にするものの、正確な意味を理解している人は意外と少ないかもしれないので整理してみましょう。

まず、「タバコの煙」は以下の3つの種類に分類されます。

  1. 主流煙:タバコを通して直接吸い込む煙
  2. 副流煙:燃焼しているタバコの先端から出ている煙
  3. 呼出煙:タバコを吸った後に喫煙者の息から出る煙

※呼出煙(こしゅつえん)

副流煙というのは「喫煙者が口から吐き出す煙の事」だと思っている方が意外と多くいらっしゃるかもしれませんが、実は「タバコから出ている煙」が副流煙です。

※そして受動喫煙というのは上記の2と3、つまり「タバコから出ている煙」と「喫煙者が吐き出す煙」のどちらか又は両方を吸い込んでしまうことを言います。

ちなみに主流煙よりも副流煙の方が有害物質の濃度が高いということなので、喫煙者よりも非喫煙者の方が高い濃度の有害物質を吸い込んでいる可能性があります。

タバコを吸わない人達の立場からすると非常に迷惑な話です。

※情報元:受動喫煙とは

※風のない室内のような場所ではたばこの煙は最低でも7m届くという結果があることから、喫煙中の人から放出される煙は少々離れていたとしても完全に防ぐことは難しいでしょう。

※情報元:タバコの臭いと発がん物質は最低半径〇mまで届く!?

屋外であればすぐに喫煙者から離れやすいかもしれませんが、屋内の場合は距離を置きずらい場合があったり煙が充満しやすいのでさらに受動喫煙のリスクが高まります。

受動喫煙問題とは?

近年では非喫煙者であるにも関わらず、喫煙者から発せられるタバコの煙を吸い込んでしまうことによって健康被害を受けることが問題視されるようになりました。

いわゆる「受動喫煙問題」です。

昭和や平成の頃には職場や施設の屋内には必ずと言ってよいほど、卓上型の灰皿が設置されていました。

喫煙者は非喫煙者のことなどお構いなしに屋内外問わず至る所でタバコを吸っていましたが、現代ではあまり見かけない光景となってきました。

昔はそれが当たり前で、タバコを吸わない人たちの方が立場が弱く肩身の狭い思いをしていたように思います。

多くの人が利用する公共施設や事業場の中でも喫煙者で溢れかえっていて、常にタバコの有害物質に晒されていて今では考えられない状態でした。

今では世界的に受動喫煙対策は進められていますが、日本でも健康増進法が施行され、後に改定されたことで受動喫煙を防ぐ取り組みが強化されています。

次は改定された健康増進法の具体的な受動喫煙対策についてみてみましょう。

改定された健康増進法による受動喫煙対策

2018年7月に健康増進法の内容を改定する法律が成立したことで、2020年4月からは新しいルールによる受動喫煙防止の取り組みが全面施行されました。

非喫煙者への受動喫煙を防止するための取り組みとしては主に以下の4つとなります。

引用元:なくそう!望まない受動喫煙。

  1. 屋内は原則禁煙
  2. 20歳未満の方の喫煙エリアへの立ち入り禁止
  3. 屋内を喫煙可能にするには専用の喫煙室の設置が必要
  4. 喫煙室には標識の掲示が必要(義務)

多くの施設の屋内が原則として禁煙の対象となるので、これまでよく目にしていた灰皿型の喫煙設備などを利用しての喫煙は不可能となります。

原則屋内が禁煙になる以上は、認められた「専用の喫煙室」以外の喫煙設備はできなくなりますし、既に設置済みのものは必然的に撤去しなければいけません。

屋内で喫煙を可能にするには専用喫煙室を設置した上で20歳未満の喫煙エリアへの立ち入り禁止表示や標識の掲示が義務付けられます。

そして2022年4月からは成人年齢が20歳から18歳に下げられましたが、たばこに関しては健康上の理由から20歳のまま維持される方針です。(※)

※情報元:法務省

原則として室内禁煙とは言ったものの室内でまったく喫煙が出来なくなるのかというと、そうではありません。

施設の事業内容と事業の経営規模によって分けられた下図で示す4種類の喫煙室であれば、施設内に設置することが認められます。

このように、望まない受動喫煙を防止するために改定された健康増進法ですが、喫煙したい人には喫煙するための場所(専用喫煙室)が提供されます。

喫煙室の設置は喫煙者の居場所を確保しつつ、非喫煙者への受動喫煙のリスクを減らすことを目的にした措置です。

見方を変えてみると、指定された専用の喫煙室が存在することでその中では喫煙し放題となるので喫煙者の健康を守るための措置ではないことがよくわかります。

健康増進法とは、あくまで受動喫煙による健康被害を減らしたり無くすことが目的で、国民全体を対象とした取り組みというわけではないようです。

専用の喫煙室を設置するかどうかは施設の管理者次第となりますが、既存の喫煙設備をすべて撤去して全面禁煙にしてしまう飲食店や施設が増えています。

全面禁煙にすることで売り上げ減少の懸念が少ないと予想される店舗も、業態によってはあります。

逆に、お酒の提供がメインとなる店舗や、喫煙が可能なスナック・バーなどは全面禁煙にしてしまうと客足が途絶える可能性が高いことが容易に予想できます。

そのような「喫煙出来て当たり前」というイメージのある店舗には、全面禁煙よりも専用の喫煙室を設置する方が現実的です。

決められたルールが飲食店や事業場に浸透していない現状

先ほど紹介した、改定された健康増進法は2019年から2020年7月に予定されていた東京オリンピックの開催に向けて段階的に進められてきました。

これで受動喫煙問題は解消されたかというと、そんなに簡単な問題ではないようです。

改正法が施行される直前の昨年度には受動喫煙防止対策に関わる補助金の申請件数が2,000件を超えている実績があることからもわかるように、問題意識を持って前向きに対応している事業者は多いです。

情報元:企業の対応状況

こういう数字を目にすると対策は順調に進んでいて問題は無さそうに思えますが、一方で非喫煙者へ実施したアンケート調査では意外な結果が出ているようです。

2020年11月に東京都に在住の老若男女への受動喫煙に関するネット調査では、都民の62%が受動喫煙を経験したと回答しています。

情報元:日本経済新聞

改定された健康増進法に加え、東京都では「都受動喫煙防止条例」も全面施行されている中で、調査対象の都民の半数以上が受動喫煙の被害を訴えているというのは残念と言わざるを得ません。

都内の飲食店等を含む施設では、2人以上が利用する施設は原則屋内禁煙と決められていて、施設の入り口には「禁煙」又は「専用喫煙室あり」の掲示が義務化されています。

なので都内のほとんどの飲食店においては飲食しながらの喫煙は出来なくなっているはずです。

にも関わらず、都内の調査対象者の6割以上が受動喫煙の経験があると結果が出たというのはどういうことでしょうか。

理由の1つとしては、そもそも屋内全面禁煙化になったことを把握していない事業者がいるという現状です。

2020年11月下旬から翌年1月上旬に行った都内飲食店へのアンケートでは、内13%が屋内全面禁煙化になったことに対して「知らなかった」と回答しています。

そのように回答した店舗であれば喫煙室を設けた分煙対策などができていない可能性は高く、喫煙中の人と非喫煙者が同じ空間にいることになります。

厚生労働省のホームページや新聞、ニュースなどで事業者向けの受動喫煙対策などの情報を得る機会はありますが、それらを一切利用しない事業主にとっては知る由もないということでしょう。

引用元:厚生労働省

ただし改正法による違反者には「過料」などの罰則が科せられる可能性があるので、「知らなかった」では済まされません。

喫煙が発見された場合は、まずは指導され、次に命令、罰則(過料)など徐々に重い処置となっていきます。

また、屋内に既存の喫煙室がすでに設置されていることで、「ルールを守っている」と認識して疑わない飲食店の事業主がいらっしゃると思います。

しかし、設置されている喫煙室は改正法の基準をしっかり満たしていないといけません。

先ほども紹介しましたが、事業の形態や規模によって異なる条件を満たした喫煙室を設置する必要があります。

現に事業主から「自社の既存の喫煙室は改正法の基準を満たしているのか」という相談が多いという実態があります。

情報元:企業の対応状況

最近取り付けられる喫煙室(喫煙ブース)は改正法の基準を考慮して設計されていると予想できますが、一昔前に作られた喫煙室は条件を満たせていない可能性が懸念されます。

そのような設備では基準を満たした分煙ができていないことで非喫煙者が受動喫煙の被害を受けているということも考えられるのではないでしょうか。

「始めから喫煙室があるのだから大丈夫だろう」と安心はできません。

コロナ禍において、保健所の繁忙が続き、飲食店や事業場への改正法の周知と取り締まりが弱いことが原因の1つであると思います。

喫煙室の設置が必要なのは知っていても、設置に際して補助金(受動喫煙防止対策補助金)が支給されることを知らないというケースも考えられます。

そのような場合は、「喫煙室なんてお金がかかるから設置できない」と設置に後ろ向きになっている事業者もいるかもしれません。

時間はかかるかもしれませんが、1店舗ごとに調査員を派遣して店舗を査察し現状を把握して適切な改善策を事業主に伝え、期日内に従わなければ過料を科すくらい徹底することができれば受動喫煙は大幅に減るのではないでしょうか。

それが出来れば少なくとも、「屋内が原則禁煙化になっていることすらも知らなかった」と答えた事業主はいなくなるはずです。

行政のホームページでお知らせするくらいだとどうしても受け身の姿勢となり、どこか他人事のような印象を持つ人も少なくないでしょう。

単純に、取り締まりの強化が受動喫煙の防止効果を上げるのは間違いないと考えられます。

施設管理者と喫煙者のマナー違反も問題視されている現状

飲食店や事業場の屋内の受動喫煙対策だけでなく、喫煙者自体の喫煙マナーも問題となっています。

具体的な例を紹介します

ケース1

個人病院の隣にあるタバコ屋さんの前に灰皿が設置してあることで、そこで喫煙している人の煙が病院の窓や換気口から入ってきて迷惑しているというものです。

情報元:ヤフー知恵袋

これはタバコ屋さんが店先の灰皿を撤去することで解決できる問題ですが、個人的に指摘するのが難しかったり、指摘することで相手方とトラブルになることも考えられます。

このような場合は厚労省のHPに相談窓口が設けられているので利用するのが良いかと思います。

ケース2

高校生がアルバイトしている居酒屋の店内が全て喫煙可能になっていて、未成年のお客さんが多く来店して飲食できる状態になっているというもの。

情報元:ヤフー知恵袋

このような場合、喫煙可能店であれば20歳未満の方は入店も就労もできません。

しかし、この居酒屋では高校生にアルバイトをさせているので明らかに法律違反です。

この高校生のアルバイトの方の証言では、一応、見づらい場所に「20歳未満の来店禁止」のステッカーが貼ってあるようですが、普通に20歳未満のお客が入店していて社員も店内で喫煙しているという状態のようです。

意図的かはわかりませんが、ステッカーの貼る場所が見づらいのと、客側も20歳未満が入店できない事を承知で入店しているということも考えられます。

現状を変えるには周知の徹底と罰則の強化が必要?

このような店側と喫煙者側のマナー違反は氷山の一角だと思われますが、マナー違反している者が得をするかのような状態になっていると感じられます。

政府や自治体の監視や厳しい罰則が感じられないことが原因の1つかもしれません。

「今の現状を放置していたらマズイ」、「この行為は問題になる」という認識を店側と喫煙者の両者が強く持つような状態でないと現状を変えていくのは難しいのかもしれません。

喫煙したい客が多い居酒屋など、アルコールを提供する店舗などではこのようなケースは多いことが予想されますし、店舗で働く従業員や管理者の受動喫煙に対する意識の低さも問題です。

店舗の中では、このような状態ではありますが、一部の自治体では店先や路上での喫煙のパトロールが強化されてきています。

地域によっては路上喫煙の禁止エリアが設けられているところもありますが、まだまだ少ないのが現状です。

店舗内のルールが強化されると、今度は歩きタバコやタバコのポイ捨てなどが増加する可能性が高まり、そちらの問題も増えそうです。

受動喫煙対策を正しく行って従業員とお客が守られた快適な空間を維持しよう

いつまでも違法な経営状態では第3者からの通報によって「過料」を科せられたり企業イメージが悪くなるデメリットが常にあります。

改正法の基準を満たして正しく分煙することで、従業員やお客が安心して居られる空間づくりが可能になりますし、飲食店を選ぶ際にしっかりと分煙対策されているのか気にしているお客様は多いです。

「受動喫煙対策済みです」と胸を張って営業できるように、「基準を満たした専用の喫煙室(喫煙ブース)」の設置がこれからも求められる時代となります。