喫煙ブースの導入を検討する上で、特にネックとなるのが価格です。相場について調べたものの明確な金額がわからず、導入を足踏みする企業や飲食店も少なくありません。
そこで今回は、喫煙ブースの価格は高いのかどうかを解説します。導入の必要性についても把握し、分煙環境を整備する際の参考にしてください。
【結論】喫煙ブースの相場は断定できない

喫煙ブースの費用感や相場は、一概に断言できません。以下のような要因により、喫煙ブースの価格は大きく変動するからです。
・サイズ
一度に利用できる人数によって、必要なサイズが変わります。大型のブースほど高価になる傾向があります。
・機能
換気システムの種類やフィルター性能、吸引力といった付加機能が多ければ多いほど、価格も上昇しやすくなります。
・購入orレンタル
購入の場合、初期費用が大きくなる傾向にありますが、長期的に見ればランニングコストを抑えられます。レンタルは初期費用を抑えられる一方、長期利用の場合は費用がかさむ傾向にあります。
上記のような理由から価格が変動するため、相場を示すことが難しい現状があります。
なぜ喫煙環境が必要?売上減少に直面する飲食店の実態

近年、健康増進法や各自治体の受動喫煙防止条例などの施行により、飲食店における喫煙環境の整備は喫緊の課題となっています。
例えば、大阪府では2025年4月に「大阪府受動喫煙防止条例」が施行され、客席面積が30平方メートルを超える飲食店は原則として屋内禁煙となっています。
(出典:大阪府「大阪府受動喫煙防止条例が全面施行(2025年4月1日)されます!」/https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/fumin/o100070/prs_51164.html)
このような規制強化により、受動喫煙を避けたい非喫煙者が快適に過ごせるようになりました。しかし、全面禁煙に舵を切った結果、売上減少に直面する飲食店も出始めています。
実際、大阪のある飲食店は、今年4月から全面禁煙にシフトしました。その結果、月間の売上が1割以上減少したのです。「タバコが吸えない」と判明した段階で、入店せずに帰る人もいると話しました。
(出典:MBS NEWS「【タバコに世界一厳しい!大阪】なんば駅が吸い殻ポイ捨て全国ワースト 喫煙所不足? 屋内禁煙に踏み切った飲食店は売り上げ減を訴え『予想越え、楽観視しすぎた』」/https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2025/09/108140.shtml)
特に喫煙者の利用が多い飲食店では、同様のケースが他にもあると想像できます。売上減少を防ぐ面からも、喫煙環境が求められているのです。
喫煙ブースの導入がおすすめの理由

飲食店やオフィスの分煙方法は、まずは、改正健康増進法の法律に則った対応が必要であります。室内が改正健康増進法の法律に則したものであれば、時間分煙やパーテーションで客席を区切る方法も考えられます。しかし、両者にはそれぞれ課題があります。
・時間分煙
特定の時間帯のみ喫煙を許可する方法です。従業員の負担は少ないものの、「この時間は吸えないのか」といったクレームにつながり、顧客満足度を低下させる可能性があります。
・パーテーション分煙
客席の一部をパーテーションで区切る方法です。場合によっては、ニオイや煙が完全に漏れ出すのを防ぐことが難しく、想定した効果を得られないケースもあります。
このような場合におすすめとなるのが喫煙ブースです。喫煙ブースは比較的簡単に設置でき、店舗のレイアウト変更を最小限に抑えられます。高性能な換気システムを備えた製品もあり、ニオイや煙の拡散を防止できます。
また、デザイン性に優れた製品も増えているため、店舗の雰囲気を損なわずに導入できる点もメリットと言えるでしょう。
喫煙ブースを設置するにはどうすればいい?

喫煙ブースを設置する際の大まかな流れは、以下の3つに分けられます。
(1)喫煙ブースに関する情報を集める(設置基準なども含む)
まずは、喫煙ブースに関する情報を幅広く集めましょう。設置スペースや利用者数、予算といった自社のニーズを明確にすることが重要です。また、建築基準法や消防法など、関連する法規制や条例も確認が必要です。
(2)魅力的に映る喫煙ブースをいくつかピックアップする
情報収集を踏まえ、条件に合いそうな喫煙ブースをいくつかピックアップします。各製品の仕様、価格、メンテナンス体制などを比較検討し、最も適した製品を選びましょう。
また、導入実績が多いことは、重要なポイントであります。なかなか、性能面の比較が難しいので、数多く利用されていることが、安心感になります。
(3)それぞれの喫煙ブースを販売する企業に問い合わせる
選定した喫煙ブースの販売企業に連絡し、詳細な見積もりや導入に関する相談を行います。設置場所の状況や希望する納期、アフターサービスや保証についても、しっかり確認しておくと安心です。見積もり内容や条件に納得できたら、契約に進みます。
喫煙ブースの価格に関するQ&A

喫煙ブースの価格について、よくある疑問と回答を2つ紹介します。
Q:喫煙ブースを少しでも安く導入する方法はありますか?
国や自治体が実施している「受動喫煙防止対策助成金」などを活用することで、導入費用の負担を軽減できる場合があります。これらの助成金制度は、一定の要件を満たす事業者が対象となるため、条件についての確認が必須です。
(出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html)
Q:購入とレンタルのどちらがいいですか?
初期費用をある程度確保でき、ランニングコストを抑えたい場合は購入がおすすめです。購入後の月額費用が発生せず、長期的な利用が可能です。
一方、「まずは試してみたい」という場合には、飲食店等であれば、お試しプランを用意しているメーカーもあります。オフィス等であっても、まずは、メーカーに相談することをおすすめします。
【喫煙ブースを設置した飲食店の事例2選】
ここでは、喫煙ブースを設置した飲食店の事例を2つ紹介します。
愛知県名古屋市のカフェ「cafe サンモリッツ CACHETTE」は、店舗オープン前に喫煙ブースの導入を決めました。年配のお客様が多く利用されることもあり、喫煙ブースの導入意義は大きなものがあったと話します。
事例の詳細は以下よりご覧ください。
【導入事例】タバコが吸える選択肢を残すことに、スモーククリアを導入する意義があると思います
また、東京の居酒屋「赤から池袋西口店」は、2023年9月頃に喫煙ブースを導入しました。導入後、喫煙者の滞在時間が長くなった上、新しい客層を取り込むことにも成功しています。
事例の詳細は以下よりご覧ください。
【導入1年後インタビュー】スモーククリアで、売上アップと新しい客層の獲得が実現しました
喫煙ブースを導入するお店に潜入取材!
ここまで、喫煙ブースの価格について解説しましたが、飲食店ではどのように使われているのでしょうか。今回は、喫煙ブースを導入するお店に潜入取材を実施しました!
まず1店舗目は、東京駅近くにあるカフェです。東京駅から歩いて到着する距離にあります。


約10分歩いていきます。

程なくして、喫煙ブースを導入するカフェに到着しました!誰もが知る有名なカフェチェーン店ですね。


お店に入ると、店内は喫煙スペースと非喫煙スペースに分かれていました。以下写真の鏡より奥側が喫煙スペースになっています。

喫煙スペースに入ってみると、喫煙ブースらしきものが見えます!すでに利用されているお客様もいます。

実際に私も中に入ってみました!以下のように煙を吸い込む部分があるため、喫煙ブースの外にいても、煙が漏れる場面はまったくありませんでした。

サイズは2人用で、私が入っても十分な広さがあります。タバコを吸いながらのコミュニケーションも取れますね!

さらに今回はもう1店舗、兵庫県のカフェにも足を運びました!場所は兵庫県の西宮です。

飲食店が集まっている建物の中に入ります。

入ってすぐのところにカフェがありました!写真右側に「喫煙ブースあり」との記載があります。

店内はご覧のような広さです。若年層から年配の方まで、幅広い層の方が利用されていました。

入口から奥を見ると、喫煙ブースがありました!

より近づいてみると、こちらの喫煙ブースは1人用のサイズですね。よりコンパクトなサイズ感で、黒というデザインも相まって、お店の雰囲気を損ねていません。

1人で落ち着いてタバコを吸いたい方にとっては、最適なサイズ感と言えるでしょう。

2店舗を巡った中で、実際に喫煙ブース内でタバコを吸う方も多く見られました。もし喫煙ブースがなければ、そのようなお客様が他店舗に流れた可能性もあります。機会損失を防ぐためにも、喫煙ブースの設置意義は大きいと考えます。
まとめ
今回は喫煙ブースの価格や導入の必要性、設置方法などを解説しました。
喫煙ブースの価格は、サイズ・機能といった要因により大きく変動するため、相場を断定できません。しかし、喫煙者・非喫煙者双方の顧客満足度向上の観点から、特に飲食店においては喫煙環境の整備が不可欠です。
喫煙ブースの導入は単なる規制対応にとどまらず、企業に大きなメリットをもたらします。少しでも導入を検討している際は、情報収集から始めてみましょう。

