インバウンド需要の高まりはとどまるところを知らず、訪日観光客が増加し続けています。その結果、「オーバーツーリズム」と呼ばれる現象が発生しており、タバコに関する問題も取り沙汰されている状況です。
特にホテルや飲食店では、喫煙をめぐるトラブルが発生するケースも珍しくありません。そういった状況で効果を発揮するのが、喫煙ブースなのです。
今回は、インバウンド対策に喫煙ブースが効果的な理由について解説します。おすすめの喫煙ブースも併せて確認し、効果的なインバウンド対策を進めていきましょう。
訪日外国人旅行者数は過去最多を更新
観光庁の資料によると、令和6年の訪日外国人旅行者数は3,687万人に達し、過去最高を記録しました。
(出典:観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」/https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shutsunyukokushasu.html)
観光業界では、訪日客の増加が地域経済に与える恩恵が注目されており、宿泊施設や小売業界など各方面で恩恵が広がっています。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光業は急速に回復し、今後もアジア諸国を中心に、訪日旅行者の増加が続くと予測されているのです。
恩恵がある一方、訪日外国人の増加に伴い、さまざまな課題が浮かび上がっています。その一つが「喫煙マナー」に関する問題です。オーバーツーリズムの一種とも言える問題で、すでに対策に乗り出している自治体もあります。
大阪市は市内全域を「路上喫煙禁止」に
2025年日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)に向け、大阪市は令和7年1月から市内全域を路上喫煙禁止としました。「加熱式たばこ」も対象になっていることが特徴で、違反すると1,000円の罰則が適用されます。
(出典:大阪市「路上喫煙を禁止する区域を大阪市内全域に拡大しました」/https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000630108.html)
(出典:大阪市「路上喫煙に対する罰則、取り締まりの強化について」/https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000641324.html)
この条例により、路上喫煙の減少が期待されています。しかし、海外からの観光客にとっては、このような地域ごとのルールを事前に把握するのは難しいのが現状です。
特に日本語が読めない旅行者にとっては、禁止区域の案内標識があっても理解できない場合が多く、トラブルに発展することもあります。
喫煙マナーに関する主な問題
喫煙に関する問題は、観光客が不便に感じるものもあれば、観光客のマナーの悪さから発生するものもあります。
・観光客が不便に感じる理由
日本では喫煙所の設置場所が限られており、喫煙場所を見つけるのが難しいことがあります。また、英語や中国語、韓国語といった多言語での案内が不足しているケースもあり、「どこで吸っていいのか分からない」という不満が見られます。
その結果、観光客は路上で喫煙したり、人通りの少ないところで吸ってしまったりという事態になりがちです。
・マナーの悪さが引き起こすトラブル
一方で、観光客の中には禁止されている場所でも構わず喫煙をする、あるいはポイ捨てをする人もいます。母国とは異なる喫煙ルールを理解していないことが多く、日本人から見るとマナー違反に映る行動が見受けられます。
こうした行為は、地域住民のストレスや不満を生む要因となり、観光地のイメージダウンにつながりかねません。
ホテル・飲食店におけるインバウンド対策の必要性
訪日外国人の受け入れに積極的なホテルや飲食店にとって、喫煙対策はインバウンド戦略の一環として重要な要素となります。主な理由は以下の2つです。
(1)機会損失を防ぐため
一部の外国人観光客にとって喫煙は生活の一部であり、旅行先でも喫煙可能な場所を探す人は珍しくありません。そのため、例えば「喫煙可能な飲食店」と勘違いして来店したものの、実際は禁煙だったと知り、その場で利用を取りやめるケースが散見されます。
また、ホテルの場合は「喫煙室を予約したつもりが禁煙室だった」ということもあり、トラブルにつながる場合もあります。
このような問題はお店側にとって大きな機会損失となるだけでなく、観光客にとっても不便な体験となります。機会損失を防ぐためにも、インバウンド対策が必要なのです。
(2)マナー違反による被害を防ぐため
外国人観光客にとって、日本の「禁煙」の意味合いは母国と異なる可能性があります。たとえ店内に禁煙マークがあっても、それが厳格に適用されるとは思わず、喫煙してしまうこともあり得るのです。
マナー違反を未然に防ぐためには、事前に喫煙ルールを伝える仕組みが必要です。例えば、チェックイン時や注文時に簡単なガイドを配布する、多言語表記でルールを掲示するといった工夫が考えられます。
喫煙ブースはお店でどのように活用されている?
ここまで喫煙ブースの必要性などを解説しましたが、実際に設置するお店はどのように活用しているのか、気になる方も多いはずです。そこで今回は、実際に飲食店に出向き、どう活用されているのか調査してみました!
まず1店舗目は、埼玉県にあるカフェです。浦和駅のすぐ近くにお店があるとのことで、足を運んでみました。改札を出て目の前にありました。
店内はご覧のような環境で、年齢や性別を問わず数多くの方が利用されていました。
お店の入口ではなく、奥に入ったところに喫煙ブースがありました!少しでもタバコを吸わない方の気にならないよう、なるべく遠い位置に設置しているのかもしれません。実際には、近くにいても、全く、タバコのニオイもなく、気になることもありません。
こちらの喫煙ブースは2人用となっています。複数人でカフェに行くことは珍しくないので、1人用よりも2人用のほうが嬉しいですよね。
そして、店内前にはご覧のような表示がされていました。
日本語表記だけでなく、英語でも喫煙ブースがあることを明記しています。日本語だけでは外国人観光客が理解できない可能性もあるため、こういった表記だけでもインバウンドへの対策につながるのです。
続いて2店舗目は、東京の高田馬場にある飲食店です。JR高田馬場駅から歩いていきます。
歩いて約5分、目的地のお店がこちらです!全国に店舗を構える有名店です。
お店の正面から見た光景がこちらです。平日のお昼時ではありましたが、若者を中心にお客さんが一定数いました。
「お酒が飲める場所」となると、タバコを吸いたいと思う方も多いですよね。そういった需要に応えるように、店内には喫煙ブースが設けられています。
こちらは1人用の喫煙ブースです。コンパクトなサイズ感で、お店の雰囲気を損なっていません。
こちらのお店では椅子まで用意されています。あまり多く見られる光景ではないですが、少しでも快適にタバコを吸う配慮がされていますね。
私が滞在した時間の中では、外国人の方が利用される光景は見られませんでした。しかし、喫煙ブースがあれば、お酒を楽しみながらタバコを吸いたい外国人観光客の満足度も高まるでしょう。
まとめ
訪日外国人の増加により、喫煙マナーに関する問題は、今後ますます注目されるテーマとなるでしょう。オーバーツーリズム対策としても、喫煙環境の整備は急務です。
インバウンド対応を進める上では、外国人観光客の視点に立った対策を講じることが求められます。ホテルや飲食店をはじめとする事業者は、トラブルを未然に防ぐ一つの方法として、喫煙ブースの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
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<この記事の取材・執筆者 N.T>
1993年生まれ、大阪出身。大学卒業後さまざまな職を転々としたのち、2019年よりWebマーケティング会社に転職。Webライターとして活動を続け、2023年5月よりフリーランスに転身。野球やバスケットボールなど、スポーツ全般をこよなく愛する。