企業のオフィス、または飲食店において、喫煙環境の用意は頭を悩ませる問題です。ただでさえ費用が発生するうえ、設置基準についても理解しなければならないため、面倒に感じることは珍しくありません。
そこで当記事では、喫煙室の設置基準について解説します。喫煙室より喫煙ブースがおすすめの理由も紹介するため、喫煙環境の用意を考えている場合は、最後までお読みください。
喫煙室の技術的な基準3つと罰則について
喫煙室を設置する際には、3つの技術的な基準をクリアする必要があります。具体的な基準は以下の通りです。
1:出入口における室外から室内への風速が0.2m/s以上のこと。
2:壁、天井等によって区画されていること。
3:たばこの煙が屋外に排気されていること。
(引用:https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/000962272.pdf)
1、2は対応できることも多いですが、3については注意が必要です。屋外排気の条件を満たすためには、喫煙室に排気ダクトまたは換気扇を用意しなければならず、大掛かりなダクト工事の実施が求められます。
しかし、場合によっては建物の管理者側から許可が出ない可能性がある他、構造上の問題で工事ができないケースもあります。仮に屋外排気を実現できても、たばこの煙やニオイが原因となり、近隣から苦情を受けることも想定されるでしょう。
仮に違反したまま喫煙室を設置・利用した場合、都道府県知事等による指導が入ります。その後の改善が見られなければ「勧告」が入り、それでも改善に取り組まない場合は「公表」となります。そして、最終的には罰則が適用される流れです。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000338603.pdf)
喫煙室の設置基準が定められている理由とは?
喫煙室の設置に基準が設けられている理由は、国が受動喫煙の防止に力を入れているためです。国立がん研究センターの資料によると、受動喫煙に遭遇する場所のトップ3は「路上」「屋外喫煙所の近く」「食堂・レストラン・フードコート等の主に食事を提供する店舗」と記載されています。
(出典:https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0531/index.html)
非喫煙者の割合が増えている状況の中、タバコのニオイや煙に嫌悪感を抱く人は珍しくないのです。また、喫煙者と非喫煙者が共存する環境では、それぞれの主張によってトラブルに発展する可能性も否定できません。
喫煙者が気兼ねなくタバコを吸えるように、非喫煙者がタバコのニオイや煙に悩まされないように、喫煙室の設置基準が定められています。
喫煙可能な4つの喫煙室
喫煙室には4つの種類があり、それぞれで特徴が異なります。種類ごとの詳細は以下の通りです。
【喫煙専用室】
一般的な事業者が、施設の一部に設置可能な喫煙室です。喫煙専用となっているため、食事の提供や会議の実施といった行為はNGです。
【加熱式たばこ専用喫煙室】
一般的な事業者が施設の一部に設置できる、加熱式タバコのみ喫煙可能な喫煙室です。喫煙専用室とは異なり、飲食が可能です。
【喫煙目的室】
施設の全部、または一部に設置可能な喫煙室です。主食を除く飲食ができます。
【喫煙可能室】
施設の全部、または一部に設置可能な喫煙室です。主食を含めた飲食ができます。
(出典:https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)
喫煙室を設置する際の注意点とは?
喫煙室の設置を考える際は、どの種類が設置条件に当てはまっているのか、事前の確認が欠かせません。また、適切な排気装置を選んだり、喫煙室の出入り口を工夫したりすることも必要です。
しかし、喫煙室の設置は費用面の負担が大きいことに加えて、広いスペースが求められます。「喫煙室のために大きなスペースは取れない」といった場合は、他の手段も考える必要があるでしょう。
そういった際におすすめの設備が「喫煙ブース」です。喫煙ブースの特徴を以下にまとめました。
・大掛かりなダクト工事が不要
・コンパクトなサイズ感
・清掃作業が簡単
1人用・2人用といったサイズであれば、狭いスペースを有効活用して喫煙環境を用意できます。大掛かりな工事は不要であり、清掃も比較的簡単です。喫煙室の設置が難しい際は、喫煙ブースを候補に入れてみてはいかがでしょうか。
喫煙ブースを設置しているお店に潜入取材を実施!
今回は、喫煙ブースを導入するお店に潜入取材を実施してみました!
最初に訪れたのは東京にあるカプセルホテルです。JR山手線、大塚駅からすぐ近くに該当のホテルがあるとのこと。
JR大塚駅を出て少しだけ真っ直ぐに進みます。
時間にしてわずか30秒ほど進むと、カプセルホテルがありました!サウナも用意されているようですね。
受付を済ませると、最上階の休憩所に向かいます。まっすぐ進んでいくと休憩所があるとのことですが、実は下の画像の中に喫煙ブースが映っているんです!ポスターが貼られている真後ろのところに向かうと…
ご覧のように喫煙ブースが設置されていました!
こちらのお店は1人用の喫煙ブースを2台導入されていました。
ちなみに、喫煙ブースから少しだけ離れた休憩所の雰囲気はこちらです。
本当にわずかな距離しか離れていませんが、近くに喫煙ブースがある場所には映りませんよね。限られたスペースを最大限利用し、喫煙環境を用意している事例でした。
さらにもう一店舗、続いてはカラオケ店に向かいます!東京都、JR大森駅すぐのお店です。
大森駅から歩いてすぐのところにある「大森ララ」の中に、喫煙ブースを設置するお店があります。
エスカレーターを登っていくと、お店の入り口を発見!
こちらのカラオケ店は非常にリーズナブルな価格設定で、平日の日中にもかかわらず、多くのお客様が来店していました。
お店に入って喫煙ブースを探しますが、見当たりません。
「おかしいな」と思って一度外に出てみると、入り口横に喫煙ブースがありました!あまりに自然な形で設置されていたので、見落としてしまいました。
こちらの喫煙ブースは複数人が入れるサイズです。カラオケは複数人での来店が見込まれるからこそ、大きめのサイズにしたのではないでしょうか。
一人で入ってもまだ十分なスペースがあります。
こちらのお店ではダーツも楽しめるので、ダーツの利用客も喫煙ブースを利用されるようです。
2店舗を回って感じたことは、用意できるスペースに応じて、最適なサイズの喫煙ブースが設置できることです。喫煙所の場合は、あらかじめ大きなものしか設置できないこともあります。
しかし、スペースを効果的に活用できる喫煙ブースであれば、お店やオフィスの規模に応じたサイズが選べるのです。改めて、喫煙環境を用意する際には喫煙ブースをおすすめします。
今回は喫煙室の設置基準を中心に、喫煙ブースがおすすめの理由なども解説しました。
喫煙室を設置する際は、設置基準の理解が必要です。4つの種類の違いも含めて入念に確認しましょう。ただ、喫煙室の設置は負担が大きいため、代替案も考えることが得策です。
工事不要の喫煙ブースであれば狭いスペースを活用し、喫煙者の「タバコを吸いたい」という願望を叶えられます。導入に際して不安や疑問がある場合は、販売業者に問い合わせてみましょう。
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<この記事の取材・執筆者 N.T>
1993年生まれ、大阪出身。大学卒業後さまざまな職を転々としたのち、2019年よりWebマーケティング会社に転職。Webライターとして活動を続け、2023年5月よりフリーランスに転身。野球やバスケットボールなど、スポーツ全般をこよなく愛する。