近年、飲食店やホテルで導入が進む喫煙ブース。実際に購入を考えているものの、「設置費用はいくらなのか」「簡単に設置できるのか」など、疑問に感じる点が多いはずです。
そこで今回は「完全版」と題して、喫煙ブースを購入する際に確認しておきたいポイントを解説します。メリット・デメリットから費用、注意点まで詳しく紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
喫煙ブースとは?
喫煙ブースとは、タバコの煙を外部に漏らさず、安全かつ快適に喫煙ができる専用スペースのことです。一般的には換気装置や高性能フィルターを内蔵しており、煙やニオイをブース内に閉じ込める構造になっています。
似た設備として「喫煙室」がありますが、両者には明確な違いがあります。喫煙室は建物内部に設けられる部屋型の設備で、設置の際は基本的に工事が必要です。
一方、喫煙ブースはユニット式となっており、比較的簡単に設置や移設が可能です。工事不要で設置できるため、特に小規模な飲食店に適しています。
2020年の健康増進法改正以降、屋内での喫煙には厳しい条件が課されており、それに対応する手段として喫煙ブースが注目されています。1人用はもちろん、複数人が同時に使用できるタイプもあり、ニーズに応じて柔軟な選択が可能です。
喫煙ブースに関する詳細は、以下の記事でも解説しています。
【現地レポート】喫煙BOXは喫煙ブースと同じもの?喫煙室との違いから実物の写真まで!
購入前に確認!喫煙ブースのメリット・デメリット
喫煙ブースを導入する最大のメリットは、受動喫煙対策を適切に実施できる点です。
喫煙可能なエリアを明確に分けることで、非喫煙者に対する配慮が可能となります。その結果、施設全体の衛生環境や印象を損なうことがありません。また、密閉型の構造により、煙やニオイが周囲に広がりにくくなるため、屋内環境の快適性も保たれます。
法令対応がしやすい点もメリットの一つです。喫煙スペースの基準が明確化されている中で、基準を満たす喫煙ブースを設置すると、企業としてのコンプライアンス意識が高まります。
一方、設置のデメリットは初期費用がかかることです。設置する喫煙ブースのサイズによって詳細は異なりますが、まとまった費用が発生することを認識しておきましょう。
また、設置場所には一定のスペースが必要となるため、施設のレイアウトや導線に影響を及ぼす可能性もあります。
喫煙ブースのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【現地レポート】喫煙ブースはオフィスの分煙対策におすすめ?設置のメリット・デメリットも紹介
喫煙ブースの費用は何で決まる?
喫煙ブースの費用は、「50万円」といった明確な金額を出すことが難しい状況です。そのため、購入を検討する際は、何が価格に影響を与えるのか押さえる必要があります。
まず、最も大きな要素はブースのサイズです。1人用のコンパクトなタイプと、複数人が同時に使用できる大型タイプでは、必要な資材や設備の規模が異なります。そういった背景から、費用に差が生じるのです。
換気システムやフィルターの性能も費用に関係します。煙やニオイの処理能力が高いものほど、設計やパーツにコストがかかるため、結果として価格も上昇する傾向にあります。
加えて、設置に伴う工事の有無も忘れてはならないポイントです。既存の施設に設置する場合、搬入経路の確保や電源工事が必要になることもあり、それらの条件によっても費用は変化します。
喫煙ブースを購入する際の一般的な流れ
喫煙ブースを購入する際の流れは、以下の3つに分けられます。
・複数の業者の喫煙ブースを比較する
・関心がある業者に問い合わせる
・自社の状況にもっとも適した喫煙ブースを購入する
それぞれについて解説します。
(1)複数の業者の喫煙ブースを比較する
はじめに、複数のメーカーや業者の製品を比較しましょう。喫煙ブースには多様なサイズや機能があり、価格帯や対応環境も異なります。やはり、アフターフォローなど長く利用することを考えますと、導入実績が重要なポイントになります。カタログやウェブサイトを確認しながら、自社のニーズに合った候補をいくつかピックアップしましょう。
(2)関心がある業者に問い合わせる
関心を持った業者に問い合わせをします。詳しい状況をヒアリングされるケースが多いため、喫煙ブースを導入する目的、予算などを伝えましょう。必要に応じて現地調査を依頼する場合もあります。
(3)自社の状況にもっとも適した喫煙ブースを購入する
複数社の喫煙ブースで検討を重ねたのち、自社に最も適したものを選定し、導入を進めていきます。設置後に使い方やメンテナンスの説明を受けておくと、より安心して運用できます。
喫煙ブースを購入する際のチェックポイント、および注意点
喫煙ブースの購入にあたっては、チェックポイントや注意点があります。
まず、法令への適合性を確認することが重要です。健康増進法をはじめ、自治体によっては独自の受動喫煙防止条例を定めている場合があります。特に、屋内に設置するケースでは、構造や換気性能が基準を満たしているかチェックしましょう。
安全面にも配慮が必要です。喫煙を伴う設備である以上、火災報知器や消火器の設置状況が適切かどうか、確認が欠かせません。
また、設置場所の選定にも注意が必要です。喫煙者と非喫煙者の動線が交差しない場所にすると、利用者の快適性やトラブルの防止につながります。利用頻度やピーク時の人数も考慮したうえで、十分な広さとアクセス性を確保することが大切です。
喫煙ブースの導入事例紹介
ここまで、喫煙ブースの概要などを解説しましたが、実際にどう利用されているのか気になる方も多いはずです。そこで今回は、喫煙ブースの導入事例インタビューを紹介します。
1つ目は飲食店へのインタビューです。条例によって完全禁煙にシフトしたものの、売上が大きく下がったため、打開策として喫煙ブースを導入しました。その結果、禁煙者が喫煙者を連れて来店するという変化が起こったと言います。
詳しいインタビュー内容は以下の記事からご覧いただけます。
【導入1年後インタビュー】禁煙者の方が喫煙者の方を連れてきてくれる、そんなお店になりました
2つ目はオフィスへのインタビューです。喫煙ブースを導入するきっかけは事務所の移転でした。以前は事務室の中心に喫煙室があったため、扉を開けただけでタバコのニオイや煙が漏れていたのです。
しかし、喫煙ブースを設置したことにより、ニオイや煙に関する悩みは解消されました。その副次的な効果として、社内環境も改善されたと言います。
事例記事は以下のリンクよりご覧いただけます。
【導入事例】スモーククリアのおかげで分煙が進み、社内環境がよくなりました。
喫煙ブースの取材
導入事例インタビューに加えて、今回は喫煙ブースが実際にどう利用されているのか、お店への潜入取材を実施しました!リアルな利用状況について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1店舗目は、東京のJR大森駅近くにあるカラオケ店です。JR大森駅からすぐのビルに、該当のお店がありました!
お店の入り口すぐに設置されており、サイズは4人用と推測されます。カラオケは複数人での利用が多い傾向にあるため、大きいサイズなのは嬉しいですよね。
正面から見るとこのような形です。デザインが黒を基調にしているためか、大きいサイズでも違和感はないように映りました。
灰皿が2台設置されていて、ある程度の使用感は見られますが、壁が汚れているような雰囲気もありません。カラオケを楽しみたい喫煙者の方にとって、非常に助かる設備ではないでしょうか。
さらにもう1店舗、今度は東京のJR御徒町駅から歩いて5分ほど、有名なカフェ店まで足を運びます。
歩いた先にあったのがこちらのお店です!
全国にあるチェーン店ですが、こちらは比較的小さなサイズのお店です。入り口から奥に入ると、喫煙専用のエリアがありました。写真の右側です。
なお、今回は喫煙エリア内のお客様が非常に多く、撮影が困難な状況でした。店内に設置されていたものと同じサイズの喫煙ブースは、以下の写真の通りです。
非常にコンパクトなサイズ感で、最低限のスペースさえあれば設置できるように思いました。
実際にブースの中に入ってみましたが、タバコのニオイはまったく気になりませんでした。非喫煙者かつ、タバコのニオイが苦手な私でも気にならなかったことから、性能の高さがうかがえました。
今回はあくまで一例となりましたが、他にも喫煙ブースを導入するお店、オフィスはたくさんあります。導入事例についてさらに詳しく知りたい場合は、以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ergojapan.co.jp/smokeclear/case_column/
まとめ
喫煙ブースは、受動喫煙対策を実現するための有効な設備です。喫煙者と非喫煙者の双方にとって安心・安全な環境を整えるうえで、法令への適合や設置場所の工夫など、さまざまな要素を検討することが求められます。
紹介したポイントを参考にして喫煙ブースの導入を進めることで、より円滑に分煙対策が実現できます。導入を検討している場合は、過去の導入事例を参照しつつ、信頼できる業者への相談から始めてみてはいかがでしょうか。
<この記事の取材・執筆者 N.T>
1993年生まれ、大阪出身。大学卒業後さまざまな職を転々としたのち、2019年よりWebマーケティング会社に転職。Webライターとして活動を続け、2023年5月よりフリーランスに転身。野球やバスケットボールなど、スポーツ全般をこよなく愛する。